第53話 ページ8
とは言え、流石に身体のダメージが酷い。
早めにカタをつけないと勝てる見込みも無くなってしまう。
先手必勝の精神で、まずは顔面に向かって右足で蹴りを入れる。
「甘いわよ、おバカさん‼」
まあ上手くはいかず、呆気なく右足を掴まってしまう。
ゴリラの握力を遠慮なく使ってくるもんだから、足の骨がミシ、と小さく悲鳴をあげた。
普段から鍛えてあるから、これぐらいなんて事ないのだと心の中で言い訳をし、ニンマリと笑って痛みを隠す。
貴「甘いのはそっち……その耳、邪魔そうね」
「なっ…！」
掴まれている右足を軸にし、回転の力を利用しながら左足で長い耳を狙って蹴りを入れる。
これは上手く入り、更に怯んだおかげで右足が自由になったので、右足で顎を蹴った後、空中で回転しながら着地する。
さっき見たところ、右耳が特にツギハギが集中しているから弱点なのではと思ったけど、どうやらその通りだったらしく。
右耳があり得ない方向にひしゃげてしまった。
こっちが顔を顰めたくなるような光景だけど、敵はゾンビ。
痛みで気絶する事もないからかなり厄介だ。
そ痛みがない分、敵の動きが止まる時間は短いが、それでもその身体にはきちんとダメージが蓄積されている筈。
そう自分を鼓舞して、ゾンビを睨む。
普段相手にしている海賊相手なら、ここで怒りのおかげで荒い攻撃をし、その隙に止めを刺さるけど……流石私の影。
落ち着いて距離を取り、私の隙を窺っている。
自分と戦うのだから、次の手も読めるけど、それは相手も同じ。
やっぱり短時間で決着なんて難しいか、と冷や汗が背中を伝った。
「……ねぇ、あんたさっきさ、あたしが“かくれんぼ”が得意って言った時。酷く動揺してたみたいだけど、どうして？」
貴「……っ‼」
なるほど、言葉で動揺させる作戦。
悔しいけど、私は昔の事に関する言葉ならすぐ動揺してしまう。
そこを狙われるのは至極当然の事。
悔しさで顔が口元が歪む。
貴「……“かくれんぼ”なんて可愛らしい言葉だけで済ましちゃいけない、でもあまり目を向けたくない、私の記憶」
取り乱さないようにと、自分に言い聞かせながら言葉を紡いだ。
貴「ただ、それだけ！」
走り出し、パンチを撃つ為に拳を握る。
昔を思い出してモヤモヤする心が消えるように、力を込めて。
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まり(プロフ) - とても面白いです。ぜひ待ってます。 (5月2日 10時) (
レス) id: 1571d4bdb2 (このIDを非表示/違反報告)
さくらねこ(プロフ) - とってもワクワクして読んでいました。とても面白くて、大好きな作品です。年がとてもだった今でも、戻ってこられるのを楽しみにしています。無理ばせずに、自分のペースでいいので、また、続きを書いてください。更新されるのを楽しみにしています！ (2022年8月9日 7時) (レス) id: 1e843335e4 (このIDを非表示/違反報告)
天秋(プロフ) - すごく大好きな作品です。戻ってこられるのを切に願っています…！けれど、あまり無理はされないでください…！ (2020年9月2日 18時) (レス) id: f2a9b703e9 (このIDを非表示/違反報告)
藍色(プロフ) - れさん» プロフの方に詳細について送りましたので確認してもらえたらと思います！ (2020年5月20日 20時) (レス) id: 29bb7cf916 (このIDを非表示/違反報告)
れ(プロフ) - ありがとうございます！( ；__；)夢絵できたのですがどうやって送ればいいでしょうか、、？リンク貼ってでいいですかね、、！？ (2020年5月18日 22時) (レス) id: 7701c78eca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なまやち | 作成日時：2020年3月1日 16時
