炭酸青年は今日も甘い【三ツ谷隆】

09：意地悪 ページ10

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「ただいま」






玄関の方から、隆くんの声がした。








「お、三ツ谷帰ってきたじゃん」


『帰ってきたねぇ…あ、ビール出しとこ』








今日は前みたいにガブカブ飲んでないので、まだまだ酔ってません。


元々お酒は強い方…だったはず。









「お、マイキー、ドラケン。らっしゃい」


「邪魔してるぜー、てからっしゃいってラーメン屋かよ」









お酒を飲むとツボが浅くなるのか、すぐ笑い出すドラケン君。


そんな彼を見て、隆くんも呆れながら笑っていた。









「遅くなってごめんな、A。始めてどんぐらい経った？」


『うんとね、まだ一時間弱だから気にしなくていいよー』









額に滲む汗が目に映る。急いで帰ってきたのかな。





大丈夫って笑いかければ安堵したように私の隣に腰を下ろした。









「Aの手料理めっちゃうめぇんだけど。これ毎日オマエ食ってんの？ずりぃな」


「美味いだろ。俺が教えてやったからな」









料理もおつまみも、作り方は大体隆くんから教わった。


器用な人って、教えるのも凄く上手。あの頃はよく数学教えて貰ってたっけ…







隆くんが帰ってきたということで、きちんと飲み直すことになった。


さっきまでは三人で盛り上がっていたから、今度は彼の番らしく









「三ツ谷って、銀髪も似合ってたけど黒髪も似合うな」


「…ウス」


「部屋着がタートルネック？やっぱファッションセンスすげぇなオマエ」


「……ウス」








急に隆くんを褒めだす二人と、慣れてないのか照れてる彼。


恥ずかしがってる隆くん、ホント可愛い。









『…なんか貴重な気がするし、折角だから…』


「待て待て待て、カメラはしまえって。早まるなA」









「ったく…」なんて言いながら顔を隠す隆くん。



可愛い顔をカメラに収めたかったんだけどな、残念。









「お、俺の話よりほら、他の話題を……」







焦りながら話題を逸らそうとする。でもそうはさせない。







『ね、聞いて？この前隆くんがさぁ……』


「え、何聞きてぇわ」






こんな言い方をすれば、もちろん二人は私の味方になるわけで。








「…A、覚えとけよ？」








意地悪したら、倍で返ってきそうです。

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