i 騙すように【HUNTER×HUNTER】 (ページ12)

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10.死化粧ページ12

私の念能力は変化系で念の使い方は大きく分けて二つ。

そのうちの一つである『生前の死化粧(エンゼルメイク)』は人やものの見た目を変えることができる能力で、イルミの針で自身の見た目を変えるものとは違って人の体に使えば声や体格まで変えることができ、物に使えばイチゴがリンゴになったりするものだ。

｢こんなもんか。｣

いつもの父親譲りの銀髪とはうってかわって明るい茶髪に低めの背丈。黒い執事服を見に纏った私はA＝ゾルディックではなかった。

私の見た目はゾルディック家使用人で、私の身の回りの世話をしてくれているアンと瓜二つになっている。瓜二つというか、本人そのままなのだけど。

この格好なら万が一家を出る時に誰かに出会ってしまってもアンだと思ってくれるから大丈夫というわけ。我ながら頭いい。

先程変えたリンゴに爪を食い込ませる。
するとリンゴはみるみるうちにイチゴに戻ってしまう。

この通りこの能力は変化後の物体が破損すると元に戻ってしまうもので、人の場合は直接肌に傷がついたりするとたちまち元の体になってしまう。
おとぎ話のプリンセスかよ。

まあよっぽどのことがない限り私に傷を作ることは出来ないし、そもそもこの家を出たら解除するだけの話なんだけど。

｢(ごめんよ皆。私がいないゾルディック家でも頑張ってくれ！)｣

これ以上ない程の無責任な発言を残して、私はこの家を出た。

＿＿＿＿＿

｢姉さんは？｣

｢それが、今朝からお見えになられないのです。私共はてっきりイルミ様かシルバ様のお仕事に同行されてるのかと。｣

｢(…やられた。)｣

ここ最近妙に大人しいと思ったら黙々と計画を立ててたって訳か。
確かに姉さんの能力なら誰かに変装して家を出てても不思議じゃない、あれは俺じゃないと見破れない。

｢イルミ、行先に心当たりは？｣

｢残念だけどないね〜。唯一のお友達とも携帯壊しちゃったから連絡する手段無いだろうし。そもそも4年も前だし。｣