9.四年 ページ11
そして4年の月日が経過した。
あの一件以降、私は家出をパタリとやめた。
それこそ最初はまた家出をするのではないかとイルミに見張られたりもしたけど1年経つ頃には家出のことも忘れられたようで、
私はひたすらに仕事に集中し、空いた時間にはそれはそれは兄弟を可愛がり、
ひっそりと裏で家出計画のために念能力を極めた。
「姉ちゃんがこの時間に家にいるなんてめずらしーね。」
そう声をかけてくるキルアは来月5歳になる。
子供の成長は早いと言うが、あんなに可愛かった赤子はこの短期間で立派に生意気な少年へと成長した。
(そしてやはり私よりも濃く父親の血を継いでいると思う。)
「今日は久しぶりにお休みなの。もしかしてお姉ちゃんがうちにいて嬉しいの?」
ニヤニヤとからかうとうるせーと照れながら一蹴されてしまう、お姉ちゃん悲しい泣
キルアはやはり父親の血を濃く引いた才能の塊らしく、私が5歳だった頃よりも覚えが早いと両親から高く評価されている。
それはそれで私の努力はなんだったのだ。という気がしなくもないけど私にとっては好都合で
「キルア、今度父さんと一緒に仕事するんだってね。弟が立派に育ってくれてお姉ちゃん嬉しいよ。」
「げー、知ってたのかよ。俺は姉ちゃんがいいって言ったんだぜ、親父こえーし。」
「技は見て盗むものよ、それに関しては父さんは最適だわ。」
「俺は姉ちゃんを越したいのー。」
ぶーと不貞腐れるキルアに思わず笑ってしまう。
こういうところは年相応だな。
「…キルアはきっと私より強くなるね。」
よしよしと頭を撫でると満更でもなさそうにするところ、イルミにそっくり。
今週末、父さんとキルアは仕事に出る。
そしてイルミも先週から長期任務に出かけているときた。
計画を実行するなら今週しかない。
部屋に戻った私は、最低限の荷物をまとめクロロから借りたままになっている本を閉じた。
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ゆず - すごい面白いです!読んでて楽しい!!更新頑張って下さい~!!!! (2021年11月22日 23時) (レス) id: ca6bd424a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mari | 作成日時:2021年7月30日 4時