小悪魔☆ハニーvol.27《T.MASUDA》

story1261 ページ11

．


ちゃっかり朝ごはんまでご馳走になり
ｵﾚは藤岡家を後にした。









．






せっかく車で出かけてるんだ。
すぐに家に帰るのも嫌で…

少し遠回りして帰ろうと思っていた。









…車を運転していて思う。




左手が…








Aを探してる。









もうずっとAを乗せていない。









「失って初めて気がつく。」



本当にその通りで。
隣にいる時は手を繋ぐのが当たり前で…

たまに「危ないからﾀﾞﾒ」って断るときもあった。









そんな時は唇をこれでもかってくらいへの字にしてﾌｸﾞみたいにﾎｯﾍﾟを膨らませて拗ねてた。






．





「これで我慢する…」って。
ｵﾚの服を少しだけ摘んでた時もあった。







.




そうすればｵﾚが…
抱き寄せる事を知ってて。









Aは嬉しそうにｵﾚを見つめてた









…Aに会いたい。









.







…ｹ-ﾀｲ。
返しに来たって…会いに行こうかな。









…口実がないとｶｯｺ悪くて。

それにどうしてこの間来てくれなかったのかも聞きたくて









ｵﾚは自然と有岡家に車を走らせていた。








.







Aがいるなら。
昼ごはんでも食べに行こうかな…




どっか遠くの店なら誰にも見つからないし。








そのまま泊まったっていい。






．







Aだってきっとそれを待ってる。
そう思いながらお昼少し前に有岡家の近くまでやって来た。









.





信号待ち。
この先の角を曲がれば白い家。


何気なく信号を待っていると
ｵﾚの前を黒い車が通った。









…ん？









と思った時にはもうその車は行ってしまい…
ｵﾚの車のﾙ-ﾑﾐﾗ-に小さく写るだけ。









…ｵﾚ、不安なのかなw


色の白いｻﾝｸﾞﾗｽの男が運転してたんだけど
それも山田に見えた。









一瞬だったし
あれくらいの男ならいくらでもいる。









気にも止めず車を走らせると
近くの公園で…ｻｯｶ-ﾎﾞ-ﾙでﾘﾌﾃｨﾝｸﾞしてるのは









大貴だ。









思わず車を停め「大貴っ‼」って呼んだ。









ﾘﾌﾃｨﾝｸﾞに夢中な大貴は気がつかなくて
もう一度「大貴っ‼」って呼んで





初めて顔を上げた。









.






車から手を振るｵﾚに。
大貴は一瞬顔を曇らせ…

Aと同じように
口を思いっきりへの字に曲げて
またﾘﾌﾃｨﾝｸﾞを始めた。

story1262＊DAIKI.A→←story1260

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す