キズナ【イナズマイレブン】 (ページ36)

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コイビト01 ページ36

隣を歩く彼を、ちらりと見る。

長い亜麻色の髪に、つり目の赤い瞳。整った顔立ちに微笑みを浮かべている彼は、私の、いわゆる“恋人”というやつだった。

だが、私の友達の彼氏持ちは、人前にも関わらずちゅっちゅらぶらぶして、もう見ているこっちが恥ずかしくなってしまいそうなくらいなのに、私たちは2人っきりのときにすらそういうことはしない。
冷めている、のだろうか。

アフロディの方から告白されて、彼の真剣さに思わず承諾したのがやはり間違いだったのか。

しかし、最初は全く彼に興味がなかったのに、だんだんと心惹かれているのも事実で、ちょっといちゃいちゃしたいな、だなんて思ったりもして。

もう1度、ちょっとだけ、彼を盗み見ると、なぜか彼もこちらを見ていて、嬉しそうにニコニコしている。アフロディは一緒にいられるだけで満足なのかもしれないけれど。私はぜんっぜん足りない。

「……はぁ」

手を繋がれたことは1度もない。抱きしめられたこともない。キスなんてもっての他。無駄に色気のある草食系男子。それがアフロディのようだった。

「どうしたんだい？」

どうしたもこうしたもない、と言おうとしたが、やめる。別に私だったそういうことをするためにOKしたわけではない。

でも、と私は思う。

でも、こんなドキドキもしない恋人という関係続けるんなら、いっそのこと自分から仕掛ければいいんじゃないか、と私は思う。

ああでも、やっぱりそういうのは男からやるもんだよな、とかも思ってしまう。だが、だからといって、キスをせがみたくもない。

だから、私は、

「馬鹿」

と言った。

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