キズナ【イナズマイレブン】 (ページ27)

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スレチガイ03 ページ27

「ヒロト、大丈夫かな」

それを聞き留めた玲奈が、行ってきたら？と言ってくれたのでありがたくそうさせてもらった。

先程Aさんから、ヒロトが怪我したから保健室に連れて行くと連絡が入った。

ヒロトが心配なのは確かにある。あるのだが、こう、なんとも言い難いようなモヤモヤがどうしても消えなかった。……Aさんに対する想いは封じ込めたはずなのに。

「……？」

保健室のドアの前に立つと、話し声が聞こえてきた。大方、ヒロトが消毒を嫌がっているんだろう。あいつ、子供っぽいところあるし。

だが、よく耳をすましてみると、聞こえてくるのはヒロトの声ではなくAさんの声だった。

慌てているような声に無性に心配になり、細くドアを開け、中を覗き見る。

俺は、その姿勢のまま動けなくなった。

だって、ハグ、していたから。

ヒロトはにやける顔を必死に堪えているようだったが、それでも抑え切れずに唇の端を上げていた。
ーーAさんはどんな顔してるんだろう。

そう思ったけど、生憎こちらからはヒロトの顔しか見られない。

でも、やっぱり見えなくて正解だったかもしれない。だって、彼女もヒロトと同じように幸せそうにしていたら、絶対に立ち直れないから。

ん？立ち直れない、だって？

俺は何を考えているんだ。俺は別に、Aさんが好きなわけじゃない。……好きじゃ、ないんだ。
俺は唇を噛み締めて溢れていた自分の想いを拭い、がんじがらめに縛りつける。もう絶対に開かないように。

ーー俺が、諦めよう。俺が身を引けば、2人は幸せになれる。それはとても喜ばしいことなんだ。

そう、言い聞かせるけれど、どうしても喜べない自分がいて。

そんな自分に嫌悪感を抱きつつ、気付かれないようにそっと立ち去った。

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