キズナ【イナズマイレブン】 (ページ22)

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シット02 ページ22

「大丈夫だよ、このくらい。風丸の方が風邪引いちゃまずいんじゃないの？」

「別に。お前のが体冷えてるだろ」

「でも……」

「いいから。本当、頑固だよな。昔からだけど」

「悪かったわね、女らしくなくて」

ふん、とそっぽを向く彼女だが、その仕草すらも愛おしく感じるのは末期だろう。

「……ありがと」

小さく呟いたこれには身悶えるしかない。心底今が暗くてよかったと思った。

どうしてこうもこの人は俺の心を揺さぶるのが得意なのだろう。さっきから心臓がバクバク鳴っていておかしくなりそうだ。

彼女の隣を並んで歩く。その距離は割と近く、歩いていると時折彼女の冷たい手が触れる。

チラリとAを盗み見ると相変わらずまっすぐ前を向いていた。ちっとも恥ずかしがる素振りを見せずに。

意識しているのは俺だけか、となんだか虚しくなる。

いっそのこと、キスしてみるか。そうしたら意識してくれる……と思う。

「いやいや、それはさすがに無理だ……」

「何が？」

「えっ？あ、いや、なんでもない」

無意識に口に出していたようで、彼女に聞き返された。キス云々という部分が聞かれたかと焦ったが、何のことか本当にわかっていないようで一安心。……じゃなくて。

どうせ他に誰もいないんだし、これくらいいいよな？

心の中で言い訳じみたことを言いながら、彼女の手を握る。

「………」

「…………」

少しは意識してくれるかと思い切ってやってみたが、全く効果がなかった。むしろ俺の方がやばい。冗談抜きで心臓が飛び出そうだ。

……やっぱり、俺だけ、なのか。そうだよな。俺なんかにこんなことされてもなんとも思わないんだもんな。

一度考え出したらキリがなく、ネガティブな方に流されていく。

やっぱり、好きになるんじゃなかった、そう思った時。

彼女の指が、するりと俺の指の間に滑り込んできた。俗に言う恋人つなぎというやつだ。必然的に距離がさらに縮まり、肩が触れ合う。

思わず目を見開き、Aをガン見してしまう。

少し伏せられた瞳に、キュッと引き締められたぷるんとした唇。そして、ほんのりと色づいているように見える頬。