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常連客としてでも、誰かの"特別"になれるのは本当に嬉しくて涙が止まらない。





「あー、もう可愛すぎ」


『私ッ……本当に喫茶店で、松倉さんに出逢えてよかったです』


「俺も出逢えて良かったって思ってる」


『優しくて、大好きです』


「うん、俺も好き」


『好き……うぅっ』


「もう嗚咽出てんじゃん、泣きすぎ」


『だって嬉しいんだもんッ』


「嬉しいのも大好きなのもわかったから、泣き止んで?どうしたら落ち着く?」


『……コーヒー』


「飲む?はい、どうぞ」


『……なんか しょっぱい』


「涙の味だね」


『しょっぱいぃッ』


「もう泣かないで!ほら涙拭いて!」





私の手からマグカップを奪って、ティッシュを渡してくれる。


子供みたいに声を出して泣いて、松倉さんが抱きしめて慰めてくれる。


暫くして落ち着くと、さっきまで騒いで泣いていたのが恥ずかしくて顔をあげられない。


今考えてみれば、異性に向けての意味ではなくとも"好き"なんて言っちゃったし……





「……寝ちゃった?」





さっきまで背中をポンポンしてくれていた手は、優しく頭を撫でてくれている。




そうか、このまま寝たふりしちゃえばいいんだ。


涙脆かったのも、お酒のせいにしよう。


恥ずかしかったことは全部お酒のせい。




徐々に松倉さんに身体を預けると





「ふふっ、子供みたい」





私の頬をツンツン触ってくる。


……子供扱いしてくるところは好きじゃない。


言い返したいけど、黙っていないと起きていることがバレちゃう。





「……好き、か」





松倉さんが ポツリと呟いた。


今、どんな表情をしているの?


そう思っていると、身体がゆっくり離れてフワッと浮いた。


恐らくお姫様抱っこで寝室まで運んでくれている。


ゆっくり降ろされた先はベッドだった。


頭を撫でられて、手がそのまま頬、唇と移動してくる。





「はぁ、まじで無防備すぎ」





親指で唇をなぞられる。


どうしよう、こんな状況になるなんて想像してなかった。


唇を左右往復でずっとなぞられると、流石に緊張して少し唇に力が入る。





「……起きてるんでしょ」





バレた、どうしよう。

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作者名:愛生 | 作成日時:2022年9月25日 18時

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