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「その感じだと、体調は良さそうだね」
『……それはお陰様で』
「拗ねてんの？ほっぺた膨らませても可愛いだけだけ」
頬を少し摘んで引っ張られる。
『別に膨らませてなんか、』
「はいはい。コーヒー飲む？淹れるね」
摘んできた頬を優しく撫でてから寝室を出る松倉さん。
元々距離感が掴めないような人なのか、それとも私の反応を面白がってわざと近い距離で接しているのか。
……きっと、後者なんだろうな。
彼氏がいなくなって寂しい年下の女を弄んでるだけ。
はぐらかしているだけ。
なのに、必要以上に優しいから
悪い人だとは思わないし、寧ろ良い人だと思える。
喫茶店のマスターと、ただのお客さん。
それが私たちの関係の答え。
それ以上でも、以下でもない。
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「Aちゃん、今話しかけてもいい？」
淹れてくれたコーヒーを飲んで、シャワーを借りて熱のせいで出た汗を流して
松倉さんは今日もお仕事だから、私も一緒に家を出ることが出来るように準備をしていた。
荷物をまとめていたら、ソファーに座っていた松倉さんは隣をポンポンと叩いて、私に座っての合図。
「もしよかったら、物件決まるまでこのまま俺の家おいでよ」
『え？いやそれは、』
「また迷惑かけるとか思ってる？」
『はい』
「俺からしたら、女の子が帰る場所がない方が心配になる」
『それは別に大丈夫です』
やっぱり松倉さんは、どこか心配性のお父さんみたい。
「迷惑じゃないし、少しでも力になれたらいいなって思ってるんだけど」
『そんな、いつもお世話になっているのは私なのでお気遣いいただかなくても』
「あーもう、本当にそういうのいいから。泊まって？俺からのお願い」
『そんなお願い聞けないです』
優しいにも程がある。
この人に甘え続けちゃダメ、そう思っていたのに
「昨日の夜、3つお願いしてきたのは誰だっけ？」
なのに、この人には勝てない。
『……わかりました。家が決まるまで、お世話になります』
「よし。んじゃ、一応ルール決めよっか」
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作者名：愛生
| 作成日時：2022年9月25日 18時
