31話 転校生は…… ページ35
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だからあんなにしつこかったのか。
翌日の朝───サクヤは起きた時から嫌な予感を感じていた。生まれつき第六感が鋭いサクヤは、嫌な予感は百発百中当たってしまう。
いつも通り、ソフィア達と通学路を歩き、教室に着く。暫く自分の机でこの正体を推理していたが、一向に答えは出なかった。
やがて予鈴(よれい)のチャイムと同時にフィーネが入って来てホームルームが始まった。それまで固まって雑談をしていた生徒達が各自の席に着く。
「じゃあ、ホームルームを始める前に……転校生を紹介します。」
こんな短時間に転校生が二人とは珍しい。サクヤはフィーネの合図で入ってきた生徒を見て目を見開いた。
───そこにいたのは、【殺戮の黒猫】と呼ばれる黒猫の人獣の姿、ルナだった。
「んなっ!」
彼女の姿を見たとたん、現実逃避をするため窓から外の景色を見る。恐らく似た人物だったのだろう、と必死に頭の中で説得する。が、やはりそれはルナだった。
出来れば来ないでほしかった。あの時、学園に来るなと言えば良かったと後悔するが、もう後の祭りだ。頭を抱え込みたくなる気持ちを無理矢理落ち着かせ、いつも通りにする。
「じゃあ、自己紹介をしてね。」
「はーい。えっと、ルナ=フローディアといいまーす!ギルドランクはBで属性は雷と植物です!」
全員の視線が一斉にサクヤに向く。それはサクヤと同じ姓だからだろう。ああ、最悪だ。
するとルナが此方に近づいて来る。そして、いつものように抱き付いたのだ。
口をあんぐり開ける者や、きゃーと黄色い悲鳴をあげている者もいる。そして何より、隣のソフィアから黒いオーラが出ている。だが、それにお構い無しにルナが抱き締める力を強くした。
「んも〜〜ぅ、サクヤ樣最近会いに来てくれないから来ちゃいましたー!」
「抱きつくなよ……変な誤解招かれると困るんだよ?」
「良いじゃないですかー。だってぇ私達、将来を誓い合った仲なんだもんっ♪」
再び黄色い悲鳴が聞こえる。と、同時にソフィアから滲み出るオーラの濃さが倍以上に増した。理由はあまり分からないが、とにかくまずいという事だけは分かる。
「サクヤ、君?そのルナっていう子は誰なのかなぁ?」
「そ、そそそそそそソフィア……さん?」
恐怖のあまり、さん付けにしてしまう。これはマズイ、非常にマズイ。
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シャル♪黒猫大好き人間(プロフ) - ミントさん» ありがとうございます!!私もこの表紙結構気に入ってるんです(笑)更新がんばりますのでこれからもよろしくお願いします(*`・ω-)ノ (2020年2月28日 23時) (レス) id: 6e2bf13c08 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - 表紙の蝶とか彼岸花とか凄く好きです!物語も、とても面白いです!更新頑張って下さい! (2020年2月28日 21時) (レス) id: d935f18f17 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな♪(プロフ) - 月の芋さん» ひ、久しぶりのコメントっ……!(T-T)ありがとうございます!更新は遅い方ですが、これからもよろしくお願いします!(^∇^) (2019年8月29日 22時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
月の芋 - あぁ!!なんて面白い作品なんだぁぁ!あ、すみません(._. 面白くて好きです!応援してます。続き楽しみにしてます!(`・∀・´ (2019年8月29日 20時) (レス) id: de5541b525 (このIDを非表示/違反報告)
如月唯奈(プロフ) - 今日から新しい時代が始まりました!今時代(?)こそ良いことが起こりますように!そして、この小説で一位をとってみたいなんて、贅沢を言ってみる(笑)これからもよろしくお願いします! (2019年5月1日 3時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャル(如月唯奈) | 作成日時:2018年10月24日 1時