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展覧会前日。
コミュニティセンターには出展された作品が飾られていた。
全てが飾られたスペースを一人で歩く。
皆思い思いの作品で熱意が伝わる。
そんな中。
「千賀さん」
彼女の作品の一つをじっくり見ていたら声をかけられた。
「Aちゃん」
「私の作品どうですか？」
「驚いた」
キャンバスにはまるで写真のように水面に空を映した絵が描かれていた。
正直Aちゃんがこんな絵を描くなんて思わなかった。
「気合入れました。千賀さんに認められたくて」
「俺に？」
「はい。……今のままじゃ千賀さんと肩を並べられないと思って」
Aちゃんの目が真っ直ぐ俺に向けられる。
「……俺に？」
「……千賀さんは凄いですから。それに比べて私は大したことなくて、いつも憧れてました」
「そうだったんだ」
初めて知ることだった。
「千賀さんからアシスタントしなくていいって言われて悲しかったですけど、今のままじゃと思ってめっちゃ集中しました」
「ごめんね、あのときは」
並んで絵を見る。
この絵はなんだか俺のとシンクロしてる。
「あのさ」
「あの」
言葉までシンクロしてる。
「Aちゃんどうぞ」
「千賀さんお先に」
「いやいやレディーファースト」
「……じゃあ」
またAちゃんは真っ直ぐ俺に視線を向けて。
「……私、千賀さんのことが好きなんです」
「…………」
先に言われると思わなくて俺は固まってしまった。
「そういう意味でも私は千賀さんと肩を並べたかったんです」
そんなこと言われちゃったらさ。
「俺もAちゃんに見せたいものがあるんだ」
俺は彼女を自分のあの絵の前まで連れていく。
「この絵、綺麗です」
「ありがとう」
俺が描いたのは綺麗な水色の空に白い雲、その間から差し込む日光、そんな絵だ。
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作者名：ユタカ２ | 作成日時：2021年11月23日 14時
