I love you so goodbye (ページ9)

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「あっ戸山主任。奇遇ですね。……あっ北山社長！お疲れ様です」

「お疲れ」

こいつの顔、見覚えがある。
確か宮田俊哉って名前だったような。
戸山と同じ部署だ。

「社長と主任って同期なんでしたっけ？」

「うん。そう」

「主任って社長にもフランクに接してそうですね」

「何てこと言うの」

「そうだよ。戸山ぐらいよ。俺を未だにくん付けで呼ぶ奴なんて」

「やっぱり」

宮田は人好きしそうな笑顔で言った。
戸山と宮田は仲が良さそうに見えた。

またエレベーターが止まる。
俺が用のある階だった。

「じゃあ。二人とも頑張れよ」

「はい」

「じゃあね」

エレベーターを出て、なんとなく後ろを振り返ったら、なんとなく宮田と目が合った。

営業三課のあるフロアまであと少し。
二人きりの空間ですることといえば。
俺みたいな顛末にならないといいと思った。

そんなことよりもAのこと。
結婚したというのなら、どうか幸せに生きててくれと願う。
俺があげられなかったものをどうか手に入れてくれと祈る。

今の俺にはそう思いながら、この世界を生きていくしかない。
だから、だから……。

「愛してるよ」

俺の呟いた言葉は宙に消えていった―――。

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