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俺たちの関係を天が許すわけがなかった。
社長室に二人きりでいたところ妻がノックをせずに乗り込んできた。
そしてスマホで写真を撮られた。
終わったと思った。
「あんたどういうつもり？自分の家と私の家の面目を潰す気!?」
妻は俺を見ないくせに、俺が余所見をするのは許せないらしい。
Aに対してクビにするとか慰謝料を請求すると騒ぎ立てた。
そのせいで会社の上層部に知られることになった。
Aはすぐに帰らされ、俺は会長である父に呼び出された。
「お前は自覚を持て。離婚はできないし、社長を辞めるだなんて許さないからな」
やっぱり俺はこの雁字搦めの世界からは出られないらしい。
その上でAを失う？
絶望に襲われた。
家に帰れば誰もいなかった。
そういえば妻は実家に帰ると言ってたなと思い出す。
このまま別居でいいのになんて思いながら乾いた笑いが出る。
やっちゃいけないって分かってるのに俺はAに電話をかけてしまう。
「A？」
「……宏光さん？」
「俺の家に来て」
「でも……」
「今誰もいないからさ。来てよ」
「……分かりました」
1時間ぐらいしてAが来てくれた。
「……A」
彼女を力強く抱きしめる。
もうこの腕で抱くことは出来ないの？
彼女が俺の傍からいなくなる？
そんなの耐えられない。
「A」
「何ですか？」
Aの手を取り、自分の首に手をかけさせる。
「俺を殺して」
「えっ？」
「お前が傍にいない世界なんて生きたくないから」
「…………」
Aの手に力が入る。
女の力で男の首は絞められないって分かってるけど、どうしてもAに殺されたかった。
「宏光さん……」
Aの瞳から涙がポロポロと流れてくる。
俺は間違ってたと感じた。
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作者名：ユタカ２ x他1人 | 作成日時：2021年9月11日 17時
