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「じゃあいってくる」
「いってらっしゃい」
休憩時間が一緒だったためタマと文化祭を回ることになった。
ぶっちゃけ学校中で人気のタマと並んで歩くのはとても肩身が狭い。
ほら、そこの女子2人組があの女誰って言ってる。
「Aさあ。宮っちにはあんなこと言ったけど、お前もだからね。堂々と歩こうよ。逆に目立つわ」
「でもタマはとても目立つし」
「それはある意味俺自身に関係のないことだから」
タマはマイペースだ。
芯がしっかりしてるからぶれない。
私にはないものがある。
「腹減ったなあ。じゃがバター食べたい」
「私も食べたい」
「じゃあ決まり」
私たちはじゃがバターを出しているクラスに入った。
タマのご登場に沸いているのに本人は気に留めていない。
私は塩味、タマは明太マヨネーズ味を注文する。
席が空いていたので隣り合って座る。
肩身が狭いです。
「Aって浮いた話全然ないよね」
「浮いた話？」
ずっと真面目に生きてきたつもりなのでそういう話とは無縁のつもりだ。
「例えば恋愛とか。彼氏欲しいとか恋愛したいとか」
「……ないな。恋愛は特別必要ないかな。そういうタマは？告白してくる子もいるでしょ」
「俺は恋愛は必要だと思ってるよ。ただまだ特定の子を作らないだけ」
「ロマンティックなんだね」
じゃがいもを一口入れる。
バターの塩味と塩が合わさって美味しい。
「まあそういうことにしといて」
恋愛が特別必要ない理由は特にない。
ただ本当に必要がないだけ。
多分欲しいものは別にある。
「Aもいつか必要になる日が来るかもよ」
「そんな日来るかなあ」
「来るよ」
じゃがバターを食べながらそんな日が来ることはあまり期待していなかった。
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作者名：ユタカ２ x他1人 | 作成日時：2021年7月6日 11時
