Episode32 【宏光side】 ページ32
アパートまでの道のりを2人で歩く。
彼女の歩幅に合わせて歩くと、周りの景色もゆっくりと流れるようで、見慣れた景色がいつもと違って見える。
もうすぐで彼女のアパートが見えるという頃、俺は思い切って切り出した。
「あの日さ…初めて逢った日、彼氏と別れたって…本当?」
思いもよらぬ話題だったのか、彼女は一瞬驚いた顔を見せ、そして苦笑いを浮かべながら頷いた。
「2年半付き合ってたんです。彼は私より3つ歳上で頭が良くて仕事もできる人でした。最近は仕事が忙しいって言ってなかなかゆっくり会えなかったけど、まさか他に好きな人がいたなんて…」
「もしかして、あのハンカチは…」
俺が尋ねると、彼女は「これですか?」とバッグから俺も見覚えのある水色のハンカチを取り出して言った。
「彼が初デートの時に買ってくれたものです。北山さんから受け取った後、捨てちゃおうと思ったんですけど、できませんでした…」
悲しげに微笑みながら彼女は言葉を続ける。
「情けないですよね。ひどい振られ方したのに、それでも捨てられないなんて…」
「そんなことないよ!!」
俺は足を止めて彼女を正面に見据え、キッパリと言った。
「好きだった人をすぐに忘れるなんて、無理に決まってるよ。Aちゃんは全然情けなくなんかない!むしろ、素敵だと思うよ。その元カレは、男として最低なやつだけど、Aちゃんにこんなに想われて幸せだ」
「北山さん…ありがとうございます…」
彼女が困惑したように微笑みながら俯くのを見て、俺も恥ずかしくなり俯いた。
「もしさ、Aちゃんが寂しくなったり、1人でいたくないって思った時は、いつでも連絡してよ。俺、すぐ飛んでくるからさ。Aちゃんの心にあいた穴、俺が埋めるから」
我ながらクサイ台詞だと思う。
それでも彼女は「ありがとうございます」と言って微笑んでくれた。
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SaYaKa(プロフ) - yndreamv0mm0vpqさん» コメントありがとうございます!!たくさんドキドキしてもらえるように頑張ります^ ^ (2018年8月2日 7時) (レス) id: d50237b6e9 (このIDを非表示/違反報告)
yndreamv0mm0vpq(プロフ) - 今後の展開がすごく気になります。2人はどのようにして再開し、恋に発展して行くのか。ドキドキ。楽しみにしています。 (2018年8月1日 18時) (レス) id: 59b8f94fa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SaYaKa | 作成日時:2018年7月31日 1時