※第３４話 探偵たちの夜想曲 ページ36
×
兄を失くし、男の自 殺に巻き込まれて憔悴する樫塚さんを残すのは酷だ。
小五郎さんの訴えで、聴取の続きは明日に見送られることになった。
男の仲間が待ち伏せてるかもしれない、と安室さんが運転を買って出る。
「・・・ところで、何で彼がここにいるんだね？」
「私の一番弟子になったんスよ！」
うんざりする目暮警部の隣で、小五郎さんは嬉しそうに声を張った。
「また君の周りに探偵が一人、増えたわけか・・・」
また？
俺も知らない新事実。
もたらされた情報に自然と口角が上がった。
小五郎さんの周りをウロつく若い女探偵、か。
帰ったら、早速調べてみよう。
樫塚さんを送るために、全員で駐車場へ向かった。
大人五人に子供一人って道交法違反じゃないの？
四人乗りのRX。
明らかな人数オーバー。
「俺、やっぱりタクシーで行きますね」
「・・・そのまま帰ろう、なんて思ってないですよね？」
安室さんの問いかけに、近くにいたコナンの肩を抱き寄せた。
「Aさん!?」
「心配しなくても、コナンも一緒ですから」
それにーー
「道交法違反で警察に捕まるとか、シャレになんないですよね？」
にっこり笑うと、渋々ではあるが安室さんは了承してくれた。
「ねぇ、Aさん。犯人分かってるのに、どうして何も言わなかったの？」
「俺は探偵じゃないし警察でもない」
お前だって言わなかったろ？と視線で問えば、コナンは「えへへ」と誤魔化した。
「俺としては、お前がこの後'どう動くか'の方が興味がある。だから今は黙っててやるよ」
片目を瞑り口角を上げる。
応えるように、コナンはこれから悪戯を仕掛ける子供のような笑みを浮かべた。
それにしても。
「小五郎さんと蘭さんは何で付いてきたの？」
「それはーー」
小五郎さんは単なる下心。
蘭さんはコナンと二人で事務所に残されるのが嫌だったらしい。
暫くして、樫塚さんの住むマンションが見えた。
タクシーを降り駐車場を見渡す。
疎らに停められた数台の車。
車種、色、ナンバー。
「どうしました？高崎さん」
探るような安室さんの視線。
「ーーいや、何でもないです」
淡々と返せば、怪訝そうにしながらも安室さんは小五郎さんの元へ戻った。
「覚えたの？Aさん」
「あぁ、ばっちり」
ついで話しかけてきたコナンに、不敵な笑みを浮かべた。
×
※第３５話 探偵たちの夜想曲→←※第３３話 探偵たちの夜想曲
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鐘稀 | 作成日時：2019年11月2日 21時
