※第28話 side:降谷 ページ30
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公安の降谷零
私立探偵の安室透
探り屋バーボン
'トリプルフェイス'
何故、高崎が知っている?
「Aさん、トリプルフェイスってなぁに?」
無邪気なコナン君の声にハッとする。
肌にまとわり付く視線。
高崎が妖艶な笑みを浮かべていた。
反応を見られていた?
コナン君の会話を遮れば、高崎の思う壺。だが、反応を見ていたとしたら。
ーーどのみち高崎の思惑通り。
ならば、乗るしかない。
「僕にも教えてくれませんか?トリプルフェイスの意味」
笑顔で問いかければ、彼は満足そうに指折り数え始めた。
「ポアロの店員に私立探偵。安室さんならプライベートも忙しいでしょう?」
だからトリプルフェイスです、と彼は微笑んだ。
ゴーグルの下に隠された紅い瞳で、一体何を探っているのか?
「どうしたの?安室さん」
あどけない声。
視線をコナン君に移せば子供らしからぬ瞳の強さと鋭さに、薄気味悪さを覚えた。
「ーーいえ。僕自身は分けているつもり無かったんですが、他人からはそう見えるんだな、と感心してしまって」
空のケーキ皿と飲み物が視界に映る。
「それよりコナン君。そろそろ帰らないと、蘭さんが心配するよ」
オレンジ色の柔らかい光が店内を包む。
「ごちそうさま!!」
今日は朝から出掛けていたようで、顔を真っ青にしてコナン君は慌ててポアロを出た。
「じゃあ、俺も」
そう言って席を立とうとする高崎の腕を咄嗟に掴む。
「っ、」
さすがに驚いたらしい。
黒のゴーグルに俺を映したまま、高崎は微動だにしない。
「お住まいは米花町では無かったですよね?」
「・・・よくご存知で」
「言いましたよね?私立探偵、だと。送るので、少し待っていてください」
じっくり君の正体を暴いていこうじゃないか。
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月2日 21時