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※第13話 ページ15

※流血表現注意



「安室さん!?何で此処に」

安室?
俺が見た名前と違う。
潜入捜査中だから、本名を隠してるのか?

「ポアロの買い出しで通ったら、パトカーが見えたので。それよりも彼、出血が酷い」

脇腹を抑えた手を汚し、床に広がる血液。
驚愕に見開かれたコナンの瞳が俺の姿を捉えた。

「何で、こんな」

状況の理解が追いついていないのか、焦りの色を見せるコナン。
思いつく原因なんて1つしかないだろ、と肩を竦めた。

「脇腹に刺さってたナイフ、抜いたから」

平然と言い放つと、コナンだけでなく安室さんの表情も凍りついた。

「僕の車まで歩けますか?」

「まぁ、歩くくらいは?」

へらり、と力なく笑えば呆れたように息を吐き出す目の前の安室さん。

「無理しないでください」

「ぅわっ」

座っている俺の膝裏に腕を通しもう片方の腕を背中側から脇の下に通された。

所謂ーー'姫抱き'

宙に浮く身体。
成人して、まさかこんな恥ずかしい体験をするとは思わなかった。顔に熱が集中する。

「っ、歩けるから」

降ろしてもらおうと胸板を押し返し、足をバタつかせる。その間にも流れ出る血液。

「暴れないでください」

強い口調と鋭い眼差し。
キツく肩を抱かれてしまえば、抵抗なんて無意味だ、と悟った。

コナンが目暮警部に話をつけてくれたらしく、俺達はコロンボを後にした。

駐車場には場違いな白の高級車、RX-7。

「これに乗るの?」

ただでさえ、血塗れの身体。
シートが汚れるのは避けられない。
後々の請求額が脳裏を過る。

あれこれ考えていると、助手席の扉が開いた。

「余計な心配は無用です」

傷口に響かないように、座席に優しく降ろされた。後部座席にはちゃっかりコナンが乗り込んでいる。

運転席に乗り込んだ安室さんはシートベルトを締め、ハンドルに手をかけた。

唸るエンジン。
アクセルを踏み込み、勢いよく発車した。

照りつける陽射しに目を細める。
普段とは違う色鮮やかに通りすぎていく風景。

「しまった」

ゴーグル回収するの忘れていた、と肩を落とし気休め程度に外套のフードを目深に被り直した。

「お兄さん、これ」

後尾座席のコナンから差し出されたのは、黒のゴーグル。

どうやら拾ってくれてたみたいだ。

ゴーグルを受け取り礼を言おうとして、まだ名前を'直接'聞いてなかったことに、今更ながら気が付いた。




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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:鐘稀 | 作成日時:2019年11月2日 21時

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