保健室のモトキ先生 (ページ6)

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Karte4 ページ6

｢？せんせ？｣

どうしたんですか？なんて。
君は明るくしてるつもりかもしれないけど
切ない感情が隠しきれてなくて。

『Aちゃん、家嫌いでしょ？』

｢へ……な、なんでですかっ？｣

『話振るといつも辛そうな顔するから。』

｢そんな…こと……｣

『隠したって、バレバレだよ』

なんでだろう。
この子の表情を見てるとこっちが泣きたくなってくる。
だから、俺は……

『……ごめんね。』

キスをした。

彼女は驚いて固まる。
見開いた目からは今にも水が流れ落ちそうで。

｢も…とき……先生……｣

俺が顔を離した瞬間、
堰を切ったようにその水は流れてしまった。

『本当にごめん。
辛いかもしれないけど、話聞かせて欲しくて。』

｢なんで……っ…？｣

『気になることが多くなっちゃったんだ。
学校外のAのこと、家族のこと。』

なんで君はそんなに苦しそうな顔をするのか。
君に悲しい顔をさせる原因がなんなのか。
知りたくなってしまった。

『何も話さないのにそんな辛そうな顔されたら……
誰だって知りたくなっちゃうよ。』

明らかに楽しかった雰囲気をぶち壊した俺。
そんな奴がこんな話をするのもどうかとは思う。
だけど、きっかけが欲しくて。

『Aを、もっと知りたい。』

先生と生徒なんて関係をやめて。
Aちゃん、なんて子供扱いした呼び方もやめて。
1人の人間として向き合いたくて。

｢っ……わかり、ました……｣

君は重い口を、心を、開いてくれた。