Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ5)

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Episode38 -5 ページ5

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翔さんは睨むような、憐れむような…もしかすると、縋るような心地だったのかもしれない。

そんな目で二宮さんを見て、言葉を続ける。

「カズ、全部お前だろ。あの女はスケープゴートだ」

「スケープゴートって、心外だなぁ。俺はちょっと助言しただけだよ。翔ちゃんが特別に思ってる女が学生時代以来できたらしいってな」

私は目を見開く。

二宮さんはちらりと私を見て、その薄い唇に意地の悪い笑みを浮かべた。

「このままでいいのかって言っただけだよ」

「違うな。少なくとも、」

「だいたいね、翔ちゃん。俺は翔ちゃんのためにやってるんだよ？」

翔さんの言葉を遮って二宮さんは言い募る。

その目はもう翔さんしか見ていなかった。

目の奥に、深い闇の色が渦巻く。

黒い目にどれだけ翔さんのことが映っているのかも、私にはわからなかった。

ただ、雰囲気の変わった二宮さんが怖くて翔さんの手を握る手に力を込める。

それに気づいたのか、翔さんが一瞬私を見て微笑むと力強く握り返してくれた。

「カズ、俺はそんなこと頼んでないだろ」

「ねぇ戸羽さん、君は知らないの？」

「なにを、ですか…？」

「おいカズ」

急に話を振られて私は声が震えないように精一杯踏ん張りながら聞き返す。

だけどその声はずいぶんと弱々しかった。

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