Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ38)

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Episode42 -4 ページ38

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この数か月、あまりにもいろいろなことがありすぎた。

私も、翔さんも、散々振り回されて。

嵐のようなその中で翔さんは何度でも離れそうになる私の手を掴んでくれた。

私が勝手に手を放していなくなれば、たぶん必死に追いかけてきてくれる人だから。

そんな翔さんだから、私にできることはこれしかなかった。

「私たちが一緒にいると、お互いに影響がありすぎたの。だから……お別れした方が、翔さんのためだと思って」

「それで、別れたの？…両想いなんでしょ？」

「……だからこそ、だよ」

たぶん、翔さんはまだ私のことを好きでいてくれている。

それがわかるからなおさら、私はもう翔さんの傍にいてはいけないと思った。

「好きだから、翔さんの妨げになりたくないの」

「妨げなんて…櫻井さんは思ってないんじゃないの？」

「そうかもね」

そうかもしれない。

けれど、そうだったとしても、やっぱり今の私は翔さんの傍にいない方がいい。

「でも……雅紀くんだって、好きな人を苦しめたくないでしょ？」

悲しく見えないようにしたくて笑いかけるように言ったら、雅紀くんの綺麗な顔がくしゃりと歪んでしまった。

あぁどうして、雅紀くんは私のためにそんな顔をしてくれるんだろう。

「そんなの……」

もともとハスキーな雅紀くんの声がかすれていた。

喉から絞り出すような声で、雅紀くんは続ける。

「そんなの……俺は…」

それ以上、雅紀くんの言葉は続かなかった。

何かをこらえるように息を飲みこんで、下を向いてしまう。

うつむいている雅紀くんの表情は少し下にいる私からは見えていて、それに気づいたようにふいと後ろを向いてしまった。

雅紀くんは優しいから、私の気持ちまで考えてくれるのだろう。

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