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Episode41 -10 ページ34

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「俺の運命は……やっぱりあいつなんだ………。俺はあいつを……百合亜を、裏切れない………もう、裏切れないんだ」



優しくて、しっかりとした声。

どこか震えていても、それは強く空気に響く。



「……わかりました」



翔さんが苦しんでる。

それがよくわかる。

翔さんが過ごしてきた今までを私はほとんど知らない。

大切な人を失くした時だって、心を殺して女性の相手をしていた日々だって、私はその傍にいなかった。

知らない、から、想像するしかない。

運命を失くした翔さんにとって私はいったい何者だったのか。

私は翔さんにとって、何であるべきだったのか。

私たちが考えていたのはずっとそんなことで。

きっと、私たちにはわかりもしない。

神様というものがもしこの世にいるというならばあるいは、その答えを教えてくれるかもしれないけれど。



「翔さん……」

「……ごめんな」



翔さんの想いは、ちゃんと本物だったから。

翔さんにとってこれが運命ではなかったとしても、私を大切にしてくれた日々も、抱きしめてくれる腕も、頬に触れる熱も、全部全部本物だ。

だから。

私のせいで、翔さんが苦しむというのなら。

私を好きになってしまったせいで、翔さんが苦しんでいるというのなら。

運命だと思った愛しい人が、苦しみを抱えていくというのなら。



「大丈夫ですよ、翔さん。本当は…私からお願いしようとしていたくらいですから」



私はこの運命を、手放すことを選ぶ。

私が翔さんのために出来ることは、きっとこれくらいだ。

翔さんが怪我をしたあの日からずっと考え続けた私の結論は、翔さんの傍を離れることだった。

私が翔さんの運命ではないのなら、私にとってもきっと、これは運命ではなかったのだ。



「仮契約、破棄してください」

「……ああ、わかった」



初めて、翔さんの顔が泣きそうに歪んだ。

その瞬間。

まるで何かを告げるように、静かな部屋にチャイムの音が鳴り響いた。



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iCHiKA(プロフ) - ともさん» 少しずつ伏線回収していきますので、しばしお待ちくださいませ。 (2020年12月8日 22時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - こんばんは。え、えー(;−ω−) (2020年12月4日 19時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:iCHiKA | 作成日時:2020年12月4日 17時

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