Episode41 -7 ページ31
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今でも鮮明に覚えている。
目の前を覆った大きな影。
聞いたことのないうめき声。
打ち付けた背中の痛み。
荒い息遣い。
目を瞑れば、力を失くした翔さんの身体の感触が手によみがえってくる。
「わたし…っ」
「ああもう、うるさいな」
「っ!」
次の瞬間、私の唇は翔さんのそれでふさがれていた。
掴まれた手首がジンジンと熱くて。
それと同じか、それ以上のしびれが唇から伝わる。
「んっ」
空いてる手に腰を引き寄せられて、素肌のままの翔さんの胸元に身体が押し付けられる。
言いたかった言葉は、熱に溶けて消えてしまった。
さっきまでとは違う涙が目に滲む。
「それ以上言うと口ふさぐぞ」
「……もう…ふさいでます…」
「ふ、そうだな」
乱れた呼吸の合間で言葉を交わせば、また唇が重なった。
久しぶりに触れた翔さんの熱が心の奥を焼いていく。
離れたくない。
そう思って、その心のままに空いていた手を翔さんの背中に回した。
引き締まった背中を掴むようにしてしがみつく。
手に触れた熱はすぐに、どちらのものか分からなくなった。
力を失くす身体を翔さんの腕が離すまいと抱き留める。
いつの間にか手首が解放されていて、翔さんの片手が私を頭ごと抱き込む。
少しだけしびれる手首を翔さんの首に回して、その熱を求めるように抱き着いた。
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iCHiKA(プロフ) - ともさん» 少しずつ伏線回収していきますので、しばしお待ちくださいませ。 (2020年12月8日 22時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - こんばんは。え、えー(;−ω−) (2020年12月4日 19時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:iCHiKA | 作成日時:2020年12月4日 17時