Lillyの王様 ×seven×《ars/s.s》 (ページ13)

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Episode39 -3 ページ13

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「そのころの俺は義母どころか使用人の女も誰も彼も、女ってだけで怖くて…そんな俺が一緒にいられる相手はカズだけだった。このころは亜理紗も近くに来るだけでダメだったからな。……確かに俺が言ったんだ、カズに…助けてって。ずっと一緒にいてくれって」

思い返す様に翔さんは目を閉じる。

その瞼に、遠い日の約束が浮かんでいるのだろうか。

「俺の中ではもう終わったことになってたよ。百合亜を亡くしたその日から、もうどうでもよかったんだ。でも…カズはずっと、覚えててくれたんだな」

その声は意外にも柔らかい。

さっきの様子を見てもそうだったけど。

翔さんはたぶん、二宮さんが約束を覚えていてくれたことが、そしてそれを今でも実行してくれていたことが、嬉しかったのだろうと私には思えてならなかった。

羨ましくなるくらい、二宮さんは翔さんの中で大きな存在なのだ。

……だからこそ、どうしてだろうかと思う。

私は静かにその疑問を吐き出した。

「いつから、二宮さんが裏にいるって思ってたんですか」

ちらりと翔さんの目が私を見る。

そこには真剣な色が滲んでいた。

思わず息をのむ。

一度視線を落とした翔さんは、意を決したように話し始めた。

「…最初に引っ掛かったのは写真だよ。お前が相葉さんと写ってるやつ」

「あの写真ですか？」

私の家と翔さんの部屋に届けられた茶封筒に入っていた写真。

こくりと翔さんが頷く。

「正確に言えば、それが俺とお前、両方に届けられたから、かな。考えても見ろ。俺がたびたび変わってるホテルの部屋と、お前の自宅の住所、両方知ってるやつはどれくらいいると思う」

「それは……あれ」

考えようとして私はすぐに首をひねる。

「そ。いないんだよ、俺とお前くらいしか。ストーカー騒ぎは徳井だったわけだけど、あいつは俺のホテルを知らない。万が一理子さんだったとしても、お前の家はともかく俺のホテルは分かってなかったはずだ。まぁ、これはお前がやられたように後を付ければいいから疑うきっかけでしかなかったんだけど」

でも、と翔さんは付け加える。

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