今日:13 hit、昨日:5 hit、合計:155,923 hit
小｜中｜大
Episode27 -3 ページ10
.
「なぁ、それなら俺が迎えに行ってやろうか」
「え、智さん？」
そんな話をしていたら、ひょこりと智さんが裏から顔を出す。
「いいんですか大野さん」
「おう。可愛いAちゃんのためだしな。それならお互い安心だろ」
「でも」
「それなら確かに安心です。でも、お任せしていいんですか？」
「構わねぇよ。どうせ行く場所は同じだしな」
智さんに「な？」と首をかしげながら目を見つめられた私は反論の言葉を飲み込む。
その目はとてもやさしくて、必死に張ろうとした虚勢は見る見るうちに溶けてしまう。
「いいんですか？」
「おう、任せろ」
親指を立てて見せながら智さんが笑う。
智さんが一緒ならば一人よりもずっと心強い。
「じゃあ、お願いします」
ぺこりと頭を下げたらその頭を智さんに撫でられた。
「すみません大野さん。よろしくお願いします」
「わかりました。じゃあ、邪魔してごめんなAちゃん」
「さ、智さん！」
にやにやと笑った智さんはそんなことを言いながら裏へと引っ込んでいく。
たぶん真っ赤だろう頬の熱が気になって手の甲を頬に当てていたら翔さんの手がゆらりと伸びてきて頭に乗った。
「翔さん？」
「ほかのやつが触ったから」
ぼそりと言いながら翔さんの手が髪を滑る。
私はまた顔が熱を持つのを感じながら少しだけうつむいたのだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1060人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年6月1日 10時
