Lillyの王様 ×five×《ars/s.s》 (ページ11)

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Episode27 -4 ページ11

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いつもより少し早めに私は最後の作業を終えた。

まだ帳簿を見ている智さんに声をかける。

「智さん、お疲れさまでした。お先に失礼します」

「おう。今日もお疲れさん。明日もよろしくな」

「こちらこそ」

手を振る大野さんと別れて裏口を出る。

薄暗い路地にはすでに二宮さんが待っていた。

「こんばんは戸羽さん」

「こんばんは二宮さん、今日もありがとうございます」

「どういたしまして…さ行きますか」

「はい」

二宮さんの促されて歩き出す。

裏口の面した路地を出ようとした、そのとき。

「戸羽さん！」

「きゃっ…」

目の前に黒塗りの車が一台滑りこんできた。

ぶつかる寸前で二宮さんに腕を引っ張られて難を逃れる。

バランスを崩した身体を二宮さんに抱き留められると、路地をふさぐように止まった車のドアがガチャリと音を立てて開いた。

「あっ…」

思わず声が漏れる。

「こんばんは。ごめんなさい、荒い運転で」

パタンとドアが閉まる音を待ってから路地に降り立った影が口を開く。

弱い街灯の明かりに艶やかな黒髪が揺れているのが映った。

「……理子、さん…」

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