Episode22 -3 ページ26
.
「あのー、取込み中すんませんけど、翔さん仕事どうするんすか」
「潤…取込み中だってわかってんなら入ってくるな」
「無茶言わないでくださいよあなた仕事中なんですから」
「仕事？そんなもん知らないよ。帰るってオーナーに言っといて」
「俺がっすか！？嫌ですよ絶対怒られます」
「Aのために犠牲になれ」
「ひどい！」
扉の向こうからのそりと顔を出した松本さんは翔さんに抗議の声をあげながらも「オーナーに確認してきます」と廊下を引き返していった。
再び扉が閉まると翔さんが思い出したように腕を解く。
「悪い、苦しかったか」
「大丈夫です…その……すごく安心、します…」
言いながら自分で恥ずかしくなってしまって語尾が小さくなったけど、ちらりと翔さんを見上げたら優しい表情でもう一度私を引き寄せた。
「俺以外のやつにそういうこと言うなよ」
「？…はい」
よくわからないまま頷けば翔さんは肩をすくめてため息をついた。
「まぁいいや。ほんとに、何事もなくてよかった。迎えに行けなくて悪かったな」
「いいんです。お仕事中に邪魔してしまって…それに松本さんから聞きました。鬼のような形相だったって」
「あいつ…はぁ、当たり前だろ。お前に何かあったらどうしようかと思ってすげぇ焦った」
一瞬不機嫌そうに眉間にしわを寄せた翔さんは次の瞬間にはどこか力ない表情を浮かべていた。
「なんで言わなかった」
「あ……」
電話をかけたときに手短に説明した付けられるのはこれが初めてではないという話のことを言っているのだとすぐにわかって、つい視線を逸らす。
「…心配をかけてしまうと思って。それに…翔さんがすごく気にしてしまうんじゃないかと…」
本音を言えば。
私が一番怖いのは、このことによって翔さんが私をまた引き離そうとするんじゃないかということだけど。
それを翔さん自身に言う勇気は私にはない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 983人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
iCHiKA(プロフ) - shiさん» 一気読みとはありがとうございます！ドキドキしていただけたとのこととても嬉しいです。更新がゆっくりではありますが引き続きお楽しみいただけるよう頑張らせていただきますね。 (2020年5月19日 20時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - はじめまして。一気に読むほど話に入り込み集中しました！！紳士的な翔さんから裏の顔まで…ドキドキして楽しみました！また次回の更新楽しみしています！ (2020年5月18日 20時) (レス) id: 36d011e7a3 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - あまさん» ご心配いただきありがとうございます(^ ^) だいぶ更新を滞らせてしまいましたがおかげさまで体調はずいぶん落ち着きました。優しいお言葉をありがとうございます。更新はゆっくりになるかもしれませんが、お付き合いいただけたら嬉しく思います。 (2020年5月18日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
あま - 落ち着いたんですね!! 本当に良かったです!! これからも、iCHiKAさんのペースでいいので、待ってます!! どうか、無理されないように頑張ってください!!! (2020年5月17日 23時) (レス) id: 621034dbe1 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - ともさん» なるほど、その手もありましたね！ですが今回のはただの電話の描写なので複雑なものではないのです(^◇^;) 一応、迷惑をかけている現状においてヒロインちゃんの自信のなさを「聞き間違いじゃないかな？」という描写で表現する際の描写アイテムのひとつです。 (2020年4月22日 22時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年4月7日 13時
