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『はあ、はあ、』
目の前がぼやけて、うずくまるしかなくなった。
記憶がフラッシュバックする。
…たすけて、
そんな心の声も、言葉にすることが出来ない。
『はあ、はあ、』
意識が遠くなっていく。
誰か、
「……A！！！」
聞き覚えのある声がした。
『たす、けて、』
「うん、大丈夫、居るよ。息して？」
『真理ちゃん、あのね、あの、』
「喋らなくていいから。落ち着こう」
あったかい、
真理ちゃんの体温が私を安心させる。
「怖かったね、大丈夫大丈夫」
いつもなら気にしている前髪もそっちのけで、
声をかけてくれる。
「大丈夫大丈夫」
真理ちゃんのシャツを握って、必死になって息を吸う。
『…はあ。…あー、はあ、』
真理ちゃんって、
私のこと全部知ってるみたいに、いつも助けてくれる。
「…落ち着いてきた？」
『…うん、ごめんね、ありがとう』
「私はいいよ」
『……あー、ダメだなあ、もう、忘れたと思ってたのに、笑』
「うん」
『もう、なんにも成長してなかったよ、笑』
「…今日は一緒に帰ろうか、」
『……部活は？あと、深澤先輩は？』
「まあ、適当に言っとくよ。帰ろう」
『……うん』
頼りっぱなしだけど、頼るしかなかった。
やっと足に力が入って、立ち上がる。
投げ捨てられた鞄を拾い上げて、御手洗を出た。
『……あ、』
「ん？」
『連絡しなきゃ。ずっと待たせちゃうかも、』
「…ふふ、好きすぎね？笑」
『だって…』
「メール入れといたら？」
『うん、』
用事が出来たから先に帰るね、と送って、
真理ちゃんと帰路に着いた。
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作者名：MooN | 作成日時：2022年1月31日 20時
