君の隣が似合いたい【黒】 (ページ28)

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「ねえ、本当に眼鏡外したところ見せちゃダメだからね」

『見せる機会無いよ』

「気をつけてね」

『分かったから…分かんないけど』

後ろの方の渡辺は私に眼鏡取らせたくて、目黒は絶対に止めたくて。

謎の戦いは目黒が勝った。
てか、後ろの方の渡辺が諦めた。

そして今は、目黒と下校。

あの陰口3人組に見つかってから、お昼を一緒に食べられなくなったんだけど、"代わりに一緒に帰ろう"と言われ、なんとなく従っている。

「来週体育祭だね」

『だねえ。やだなあ、今年も綱引きなんて』

「今年は1番前じゃないといいね。笑」

『おい笑うなよ…』

「ごめんって。笑」

私の感覚だけど、前よりも距離が縮まった気がする。

出かけた時に色々起きすぎたからなのか、なんなのか。

『そういえば、目黒リレー出るんでしょ？いけんの？』

「ん？」

『なんか足痛そうじゃん』

「…バレた？笑」

『さっき小走りしてた時変だったもん』

「すげえ。笑
まあ、ちょっと捻ったぐらいだから平気だよ」

『本当かよ』

「ほら、歩けるし」

『え、まじで来週には治せよ？？うちのクラス勝ち目なくなるじゃん』

「プレッシャーすげ。笑笑」

『治せよ？(圧』

こうやって会話しながらも、風に煽られる後ろ髪が気になった。

見た目に気を使い始めたらキリがないというか、周りの女子皆尊敬するというか。

「あれだね」

『ん？』

「Aちゃん、俺に興味持つようになってくれたよね」

『…舐めてる？』

「舐めてはないけど。笑
前だったら怪我してるとか気づいてくれなかったなって」

『…んー、まあ確かに。
目黒が面白い奴っていうのに気づけてよかったわ』

風がバーっと吹いて、飛ばされそうになる。
飛ばされるほど軽くはないんだけど。

"目黒の方が飛ばされそうじゃん"なんて言おうとしたら。

「…やっぱ面白い止まりか…」

『…ん、なんか言った？』

「…あー、や、足治るといいなって言っただけ」

『あーね。
本当だよ！後ろの方の渡辺、補欠なの多分忘れてるからね？』

「それは困るな。笑」

本当は聞こえていたけど、気付かないふりをした。

切ない表情の原因が、私なのが苦しかった。

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