君の隣が似合いたい【黒】 (ページ15)

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『おはよ』

全力ダッシュしたお掛けで遅刻はせずにすみました。
いつも通り窓際の席について、隣の目黒に挨拶をする。

「…え、おはよう…」

『朝練あったの？』

「うん…」

『そ、おつかれ』

相変わらず全部が整ってる目黒は、いつもに増してこっちを見てくる。
なんか付いてる？

『どうしたの』

「…ポニーテール…」

『あ、うん。なとなく高くした』

「…ぽにい、てえる…」

さっき鏡の前で1人呟いた"おお似合わねえ"はガチだったか…？

『え、やっぱ似合わないよね？違った？』

「いや、違う」

『だよね？違ったよね？直そ』

私は髪型などチャレンジすべきではなかったっぽい。だよね。

いつもの位置にしようとヘアゴムを引っ張ろうとした時。

「っだめ！」

『…ん？』

目黒の手が私の腕を掴んだ。

力つよ。ぷにぷにの私の腕も折れてまうがな。

「違うって、Aちゃんが言ってることが違うの。ポニーテール、めっちゃいい」

『…え、まじ？』

「すげえ似合ってる」

『ありがと』

何度目かの悶絶。
大きい手で小さい頭を抱えている。

『やっぱ目黒って変わってるね』

「かわいい」

『聞いてねえ』

「いつもそれで来てよ」

『私がいつもポニーテールは調子乗りすぎじゃない？』

「ぜんぜん」

『そう？』

「明日もそれね」

『明日休みだけどな』

「じゃあ来週」

『…気が向いたらね』

「やった」

意地っ張りなのは変わらないけど、いつもと違う髪型で背筋が伸びた。

こんな私を肯定してくれる目黒に、背筋くらい伸ばしておこうと思った。

とか言えない。

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