キミ、カオル。I【すとぷり】

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あとは……菊地さんと言うちょー出来るマネージャーさん。


手ぶらでここに来てしまった私に下着や服を含む生活用品は全くなかった。


なーくんがその人に連絡すると1階のロッカールームに全部用意してありますっと言われ、みんなで見に行った。


そこに置いてあった大量のダンボールの中には女の子に必要な生活用品から普段着で使える服、さらにはオシャレ着まで全部揃っていた。


唯一入っていなかった部屋着はみんながTシャツを貸すとゴリ押しされた。


お風呂から上がるとタオルと一緒にショートパンツとTシャツが置いてあった。


多分、あの優しい苺のカオリはなーくんのだと思う。


部屋のクローゼットには5枚Tシャツがハンガーにかけてあった。


1人1枚貸してくれたんだろう。


ちょっと微笑ましかった。


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私はグッと伸びをして部屋を出る。


「おーA。おはよ」


声の方へ振り返るとさとみくんがあくびをしながらちょうど部屋から出てきたところだった。


「おはよう。さとみくん」


並んで歩き始める私達。


「……良かった。元気そうで」


さとみくんの手がわしゃわしゃっと私の頭を撫でる。


「心配してくれて、ありがと」


さとみくんがちょっと呆れた顔になる。


「当たり前。いちいち感謝してたら…これからキリないぞ」


しれっとかっこいいことを言う。


━━━━━━これから(・・・・)


私にとっては嬉し過ぎる響き。


私は階段に差し掛かる直前で足を止める。


「……さとみくん」


階段を降りていたさとみくんが振り返る。


「ん？どーした？」


キリがなくても言える相手がいることが嬉しいから。


私は全力の笑顔で感謝を伝えるよ。


「ありがと」


驚いた顔をしてからふっと笑う。


「……ん。」


ちょっとだけ照れながら私に手を差し伸べてくれる。


その手を握った時を苺のカオリがした。



なーくんの優しいカオリとはまた違う。





甘い甘い苺のカオリ。

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