キミ、カオル。I【すとぷり】

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「何これ……？」


「その中にその気(･･･)にさせる薬が入ってる。膜が薄く作られてるから口の中で割ってキスの間で相手の口に流し込む」


「……なるほど」


少しずつとろけていく女性の表情。


そこでジェルの手が女性の顔の目の前で何かを弾いた。


その瞬間、ふわっと女性から力が抜けていく。


「えっ、ジェルくんが今使ったのは？」


「今度はこーれ。中に気体状態になった睡眠薬が入ってる」


さっきの薬よりちょっと大きめの薬。


「相手の呼吸に合わせて指で潰して使う」


「……凄い」


ジェルくんはふーっと息をついてカメラに向かって手を振っている。


「ミッションクリアだな。後はここに依頼人に来てもらって浮気現場をたまたま目撃したように装ってもらうだけ」


さとみくんがパタンとパソコンを閉じる。


「さて、一連の流れも見た事だし俺らも始めますか……」


私を見る瞳が大人な雰囲気を帯びていく。


ゆっくりと近付いてくる顔にぎゅっと目をつぶる。


キスされるのかと思っていたら、さとみくんの顔は私の耳元へ。



「何脅えてるの？襲うのは俺じゃないよ？」



耳にかかる息に体が反応する。




「Aが俺を襲うの」




「……えっ？」


離れたさとみくんの顔。





「俺をその気(･･･)にさせて？」





ふわっと悪い笑みを浮かべる。



「ねっ……A？」


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