キミ、カオル。I【すとぷり】

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side…なーくん

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━━━━━俺と一緒に行こう？……お姫様(プリンセス)


大きく目を見開いたキミが咲き初めの花のようにほころぶ。


俺の手に重ねられた手は細くて冷たくて。


握りしめていないとどこかに行ってしまいそうで。


でも、力を入れたら壊れてしまいそうで。


俺は優しく握り返す…………


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「……ｯ!」


目覚めたそこにはキミはいなくて。


いつもの自分の部屋。


「寝て……たか……」


目の前には大量のSの文字が並んだパソコン。


グッと伸びをしてからパソコンの電源を切る。


「A、寝れたかな…」


一晩中、泣いていたりしないだろうか。


━━━━泣かない。だって、みんなが聞いてくれたから。


恐怖に押し潰されていたりしないだろうか。


━━━━ もう、大丈夫。


昨日、泣きながら笑顔を見せたキミの顔が忘れられない。


綺麗だった。


無意識で涙を拭っていたなんて絶対に言えない。


ベッドに入っても君の声が聞こえる気がして寝れなかった。


だからずっとパソコンで作業してたなんて言えない。


「……切り替え切り替え」


部屋を出たところで思い出す。


「………起こしに行くべき？」


悩みに悩んだ末、部屋の前まで来てしまった。


ノックをしてみるけど反応がない。


「……A？入るよ」


そこで入ってすぐに後悔した。


「……くっそ、忘れてた」


ベッドで眠るキミは俺のＴシャツを着ている。


彼シャツ状態のキミが目の前で寝ている。


ショートパンツから覗く綺麗な足。


布団を抱きしめてすやすやと眠るキミ。


天使の寝顔を前に俺は完全にやらかしてしまったことを悟った。


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