なにかと推しに避けられるんだが

五 ページ7

「っふ、はぁ...こうですか？」

「そうだ。それをあと三セット」

「え？？？」


あの地獄を乗り越えると、素振り(一セット百回)をさせられた。
素振りって簡単そうに見えていたが、持ち方によっては、中々変わる。疲れるのだ。

それを三百回。

一応言うけども、まだ少し剣を握ったくらいなのにここまでやられると辛いぞ。
鱗滝さんが、自分の子供同然の弟子を死なせたくないのは勿論、痛いほど分かるのだ。

けどさぁ....


「ぼーっとするな！」

「はいぃぃい！」


辛すぎやしませんかねぇ......？



・・・



「っす、は、ぁ......ひゅ」

「頑張ったな」


あまりの辛さに、地べたに横たわる。

汗が滝のように出て、止まらない。
息も上手く吸えない。あの山ほどでは無いが、とても吸いにくい。
それに加えてこの疲れである。死にそう。

その日はよく眠れました......。



・・・



「...滝で何するんですか」

「そこに立て」

「え？？ちょ、落ち＿＿ギャアァァァァ！！」


いきなり叩き起こされたと思ったら、いきなり滝に行かされ、いきなり落とされる。
お陰様で目はぱっちりですよ！！！！！

水と一心同体になれ、だそう。

それにしても、寝起きの人をどうするつもりだよぉおおぉ......



・・・



このようなことを何日も何ヶ月も何年も続けて、やっと少し出来るようになってきた。

例えば、山ではすぐに“来る”というのが分かるようになった。これを話したら、感覚が優れていると言われた。
体力も付いて、呼吸らしきものも少し出来た。


「水の呼吸 弐の型 水車！




出来ねぇ！！」

「...まず覚えるべきなのは壱の型だ。もっと肺を大きくしろ！！」



といった感じで、ずっと見て貰っていた。

そのお陰で、全ての型を覚えることが出来た。
鱗滝の修行は辛かったが、今となってはありがたい。

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