なにかと推しに避けられるんだが

二十一 ページ22

「ああああ”大丈夫がな”あ”？」

「Aなら大丈夫だ。頑張ってこい」

「...善処します、ね」


結局、錆兎君と義勇君との仲は直らずに、この日を迎えてしまった。

死ぬかも知れない。

そう思うと、どうして嫌いなのかをあの日に聞いておけば良かったかな、なんて他人事のように思った。


「皆、行ってくるね」

「頑張ってね！！」

「...頑張って、下さい」

「待ってます」


そんな声援を受けて、少し元気が出たところで無理矢理笑顔を作った。

錆兎君も義勇君も応援してくれているのだ。

けど行きたくねぇぇええ！！



・・・



「鱗滝さん、最終選別の内容教えて？」


早く早く、と鱗滝さんを急かす真菰。


「.......とある山で、七日間生き残る」

「...Aさんは強いから大丈夫だね！早く来ないかなぁ」

「鱗滝さん、毎回どれくらいの人が帰ってくるんですか？」

「＿＿よくあるのが、三人から六人だ。参加者二十以上超えたとしても、変わらない」

「......え？」


言うならば、絶望。

聞かなければ良かった、と後悔した。
本当は、人数が多いから“帰ってくる”と安心しておきたかったのだ。

......嫌いなんて、言うべきじゃなかった。

Aさんは、強いと分かってる。

けど、そんなにも帰ってくる人が少ないのか？

不安が募っていく。

あの前に嫌いと言ってなければ後悔が無かったのかもしれない。帰ってこなかったら？

嗚呼、鱗滝さんが言っていたのはこのことだっのか。

多く考えても、ほとんどの人が帰ってきていない。だから、Aさんも＿＿＿？


「帰って、くるよな......？」


いつもの俺じゃないような、そんな声だった。

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