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「……A、なのか?」
確かに。うらた先生は、私の名前を呼んだ。
生徒だった頃と同じ声で。
『…覚えてて、くれたんですか?』
信じられなくて先生の瞳を見つめ返すと、うらた先生は「やっぱり、」と顔を綻ばせた。
「あんまり大人っぽくなってるから、一瞬わかんなかった。…久しぶりだな、A」
『っせん、せ、』
その笑顔を、その声を。
どれだけ思い焦がれてきたんだろう。
『うらた先生に、憧れて来たんです、』
あぁ、やだな。涙で視界が滲む。
先生の顔を、ちゃんと見たいのに。
「…そっか」
ふ、と、うらた先生が目を閉じて口角を上げた。
「A、さ。随分熱心にやってくれてたよな、委員会。…それで1回倒れたの、覚えてる?」
『っ!あああんな恥ずかしいこと、忘れて下さいっ』
泣いていることも忘れて声をあげると、うらた先生は、今まで見たこともないような顔で笑った。
「あん時は手ぇ出したくなるの必死に抑えてたよ。…だって、無防備に寝てるんだもんな」
『え、?』
ぐっ、いきなり手をひかれて、なす術もなくうらた先生の方へ体が倒れたと思ったら。
一瞬────ちゅ、と、唇が触れた。
「…ほんとはこうやって、キスしたかった」
『な、』
今、何が、起こったの?
突然のことすぎて、理解が追いつかない。
そんな私が可笑しかったのか、うらた先生は喉をくつりと震わせた。
「…ね、A。俺のこと、好きだっただろ?」
『!なんで、』
「さすがにわかるよ、お前、何かとわかりやすいもんな」
教育実習で来たのだって、俺に会うためだろ、なんて言ううらた先生に、はくはくと声にならない声が出る。
うらた先生は、ずっと知ってて、それで、うらた先生も────?
「でも、先生と生徒だったから、言えなかった。…なぁ、今からでも、遅くないか?」
『っあ、』
目に映るのは、緑色と、白色。
2人の想いが通じるまで、あと数センチ。
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しゅーまい(プロフ) - 黄衣さん» ありがとうございます!コメント遅くなってすみません、、 なるせちゃんのツンデレなシチュが欲しいです!!(*´Д`) (2018年4月12日 0時) (レス) id: d2a6d35e0f (このIDを非表示/違反報告)
黄衣(プロフ) - 夏愛~なつめ~さん» 夏愛さんありがとうございます!良ければこれからも本作品をよろしくお願いします(;_;) (2018年4月7日 14時) (レス) id: c21a9e51ac (このIDを非表示/違反報告)
黄衣(プロフ) - スイ(さぶ)さん» スイさんお久しぶりですありがとうございます(;_;)ううう嬉しいです…これからもよろしくお願いします! (2018年4月7日 14時) (レス) id: c21a9e51ac (このIDを非表示/違反報告)
黄衣(プロフ) - くろさん» くろさんありがとうございます!では歌詞太郎さんでそのシチュエーションでも宜しいでしょうか? (2018年4月7日 14時) (レス) id: c21a9e51ac (このIDを非表示/違反報告)
黄衣(プロフ) - 藍さん» 志麻さんは女子からしたら理想の彼氏なんだろうなというイメージがあります笑誕生日のお祝いまでありがとうございます(;_;) (2018年4月7日 14時) (レス) id: c21a9e51ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黄衣 | 作成日時:2017年11月5日 15時