Sing a song. ２【歌い手短編集】

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『えっとつまり？志麻さんはデート中にも私が嫁にばかり愛を注いでるから怒っていらっしゃると？』









メイトでの戦利品が入った青い袋を横に置き、Aはもぐもぐとパンケーキを咀嚼しながら言った。









「やめろ俺が嫁に嫉妬してるみたいな言い方するんは！世間一般的に考えたらデートでメイト行くなんておかしいやろって言いたいねん！」









『オタクに世間一般なんて言葉は通用しないのだよワトソンくん』









「ワトソンちゃうわ！」









俺のツッコミにAは嬉しそうにきゃはは、なんて笑った。なんやこいつ天性のボケ気質か。









『そんなこと言って志麻だってグッズ買ってるじゃん？』









「…メイト行ったんやから買うやろそこは見逃せや……」









ここまで来ればわかると思うが、俺の彼女のAは相当なアニオタである。









俺もそこそこだと自負してるけど、Aはその可愛い容姿に似合わず廃人クラスだ。









黙って座っていればモテるものの、1度口を開けば出てくるのは推しや嫁の話なので壊滅的に男に好かれない。…と思いたい。









『…楽しく、ない？私とのデート』









パンケーキを切る手を止めて、Aが不安げに瞳を揺らした。

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