Sing a song. ２【歌い手短編集】

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『…あれ、先生、近い……』









背中に感じる柔らかな感触と温かさ、そして上から覗き込んでくる端正な顔。









大方予想できる。うらた先生に、支えられてる。









いつもなら飛び上がって真っ赤になるような場面なのに、不思議と力が入らなくて。









それどころか、声を出すことすら難しい。









「っそんなこと言ってる場合じゃないだろ！なんかいつもよりふらふらしてんなって思ったら、…あー、やっぱり」









言いながら、少し冷たい先生の手のひらが額に触れて。









「完全に熱、だな…ごめん、ちょっと揺れるけど我慢して」









ひんやりとした感触が離れたと思ったら、瞬間身体が浮いた。









『ぇ、』









朦朧とする頭でも、さすがに驚いて。









いや待って、これ、お、お姫様抱っこ…！？









恥ずかしいって気持ちでいっぱいなのに、脳は恐ろしい程よく回って。









うらた先生小さいのに意外と力あるんだ、とか、やっぱり男の人なんだなぁ、なんて感想がぐるぐる巡る。









「…ん、降ろすぞ」









すとん、まるで壊れ物を扱うみたいに、慎重にベッドに降ろされる。









私が乗ったことによってできたシーツの波は、白衣と同じで真っ白だった。

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