メリーゴーランド【うらたぬき】

三十六周目 ページ37

『ひゃああああああ！？！？』









真っ暗闇からいきなり腕が伸びてきて、私は咄嗟に渉にしがみついた。









ごめんなさいお化け屋敷なめてましたほんとにごめんなさい。









「っふ…A怖がりすぎじゃね…」









渉は声に出してはいないけど、掴んだ腕が震えてるとこからみて絶対笑い堪えてる。









「っなんでそんなんで入りたいなんて言ったんだよ、笑うわ…」









『だだだって！！1回行ってみたかったんだもん！よく漫画とかに出てくるからっ』









真剣に返したのに、更に渉が笑い出す。…なんて失礼な。









『渉こそ入る時怖がってたじゃん！なんでそんなに平気そうなの！！』









「Aがビビりすぎててなんか冷静になった」









さくさくと進んでいく渉。私は置いていかれないように必死で腕を掴む。









とにかく怖い。暗闇が怖い。そしてそこから出てくるお化けも怖い。









『わっ渉、出口まだっ…きゃあああ！！』









今度は前方から髪の長い女の人が現れて、お化け屋敷に私の絶叫が響く。









「っ、A…っ近い、」









『へ、』









意外と近くで渉の声がして、恐る恐る目を開けると、目の前に渉の服があって。









体が密着してて、心臓の音がどくどく、聞こえてくる。









『ご、ごめ…！』









自分史上最高速度で渉から離れる。









…事故とはいえ、渉に抱きつくとか…落ち着いて私…！









「…怖いんだろ、早く出るぞ」









ぎゅ、と。









手に温もりを感じて、腕を軽くひかれた。









『わ、わた、』









暗いから顔はよく見えないけど、少し先を行く渉の耳は、なんだか赤かった。





追記:誤字訂正しました。ご指摘ありがとうございますすみません…

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