メリーゴーランド【うらたぬき】

二周目 ページ3

ぴぴぴぴぴ、






アラームの音で目が覚める、いつもの朝。






カーテンを開けると、柔らかい朝日が射し込んできて。






隣の家────渉の部屋を無意識に見てしまう。






私の部屋から渉の部屋への距離は、窓を使えば3メートルもない。






中学生までは、ここから出入りしてたなぁ。







渉の部屋はカーテンが開けられていて、中の様子が少しわかるようになっていた。







渉、もう起きたんだ…朝は私より弱いのに。







やっぱり受験勉強の影響なのかな？








気になって部屋の中を見るけど、薄暗くてわかりにくい。








…って待て待て、これじゃストーカーみたいじゃん。








前まではこんなことしなくても、お互いのことちゃんと理解してたのに。








今は私、…渉のこと、全然知らない。









寝不足なのか、勉強はうまくいってるのか、…好きな人はいるのか。









知りたい。前みたいに、毎日会って話したい。









渉が受験生だからとか人気者だからとか、所詮建前に過ぎなくて。









たぶん、私は……今渉に会ったら、話したら、この想いが溢れちゃうことを恐れてる。









だから、この"幼馴染"っていう曖昧な関係をずるずる引きずってるんだ。









わかってる、わかってるのに。









『…行ってきます、』









私は今日も、前に進めない。

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