たとえあなたが人でなくても 下

56話 ページ7

妊娠5ヶ月に突入した


お腹も他人の目でも分かるほど大きくなり
なんだか母親と実感させられる


先日お医者様に診てもらったのだけれども

この時期、安定期に入ったら
もう流産の心配は無いそうだ

食事もレバーなどの鉄分を摂取するよう
意識してくださいとのこと


運動もした方がいいみたいね




それでも無惨様は極度の心配性なことで
家事はあれから2人でするようになった

この時代では珍しいことなのよね


私は嬉しいけど他の人に言ったら
白い目を向けられてしまうので
自慢出来ないのが悲しい



本人曰く、
こんなにも気にかけるのは私だけなんですって

私としては他の方にも気にかけて
欲しいものですけれど

特に十二鬼月の方々には






『あ、』

「どうした」

『いま、動きました』



無残様の部屋で刺繍をしていたらお腹が動いた

グルグルというような、そんな感じがします
(作者は経験がないためネット調べです)


書類仕事をするために机に向かっていた彼が
ペンを落とし、目を見開くほど驚いていた

すぐさまこちらに来たので
手を取り私のお腹に当てる



『ほら！動きましたわ』

「…？」

『あら、まだわかりませんか』



お医者様の言っていた通り
この段階では私自身しかわからないのね

肩を落とすと無惨様は感慨深そうに
お腹を見つめてきた



「しかしそうか、動いたか」

『はい。動きましたよ』



彼は嬉しそうに、愛おしそうに微笑むと
正面から包むように抱きしめてくださった




「ありがとう」

『私のほうこそ、ありがとうございます』

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