魅惑的ミルフィーユ

※ ページ13

「カンパーイ！」

みんなで乾杯したけど、お酒あんまり飲めないから私は烏龍茶にしておいた。

「空気読めよー、最初の一杯くらいいいじゃんか」

武田くんが言ってくるけど、酔っ払って何か変なこと喋ったら困るし絶対ダメ！

「安達ってどこいるんだっけ、企画開発？」

武田くんの声が大きいからか、宮田くんが会話に入ってきてくれた。

「そうだよ。俺と玉と一緒。ね？」

「う、うん」

「アダッチーは優秀なんだよ、あ、玉もね。
今度のプロジェクトメンバーに選ばれてんの」

「へー！あの駅前のやつ？
すげーじゃん！あれ誰がリーダーなんだっけ」

「北山部長」

「うわ、いいな。俺も北山部長みたいな上司の元で働きたいわ」

「すごいよね。何でもすごくよく見ててフォローもさりげないし」

「え、何。安達、部長の話になるとよく喋るじゃん」

「そ、そんなことないけど…」

「安達って何か謎なんだよなー、プライベートが見えないっつーか。まあ彼氏はいるんだろうけど」

い、いないよ！もうかれこれ3年くらい！

こういう時どう言えばいいの？

真剣にいません！とか言うと、空気悪くなる？

今いないよぉ、あはは、って笑えばいいの？


「あ！アダッチーってどんな人がタイプなの？」


私が黙ってたら、宮田くんが助け舟を出すみたいに聞いてくれたけど。

その質問今は全然助けになってない！

だって私のタイプ玉森くんそのものだから！

中身も見た目も全部玉森くんなの！


…とは言えるはずもなく。


「落ち着いてて…包容力のある人かなあ」


なんて、当たり障りのないことを言ってなんとか逃げる。


「へー！そっかそっか。俺はねー、趣味に理解があってー、笑顔が可愛い人！」

玉森くんの横に座ってる、人事の中村さんが玉森くんに聞いてる。

「ね、玉は？タイプどんな子？」

「え？俺？」


思わず耳をそばだてて聞いてしまう。


「んー…なんかギャップのある子？」


「わかるわー、それ。男はギャップに弱いよな」

「女も弱いよ、ギャップ」


そんな話で盛り上がっている中。


ギャップ……あるな、って今日思ったところだったから妙にひっかかった。


園田さん。



やっぱり…好き、なのかな。

※→←「恋は軟弱」安達side -ニイナ-

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