女心とミツと空。

２７ 北山side ページ27

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完璧、振られたか。




確かに最初からAは俺の事なんて眼中に無かった。
そんなのわかってた事じゃねーか。



ただ、俺が勝手にあいつにまとわりついて
拒まれなかったからって少し期待しちゃってたんだ。




そろそろ、潮時だとは思ってた。



小坂に告られた事をどう思う？なんてあいつに委ねたってこんな返事しか貰えねーってわかってたはずじゃん。




"付き合って欲しくない"とか？
言って貰えるって思った？




んな訳ねーのに。
･･･どっかで、期待したんだな。バカみてー。



でも、こうなるってわかってたけど
ショック過ぎて大人気なくそのまま出て来てしまった。









「さみ･･･、」







なんだかんだでこの一年、ずっとあいつといたな。
俺の事なんて見てもなかったけど
俺はそれなりに好きな女と居られて楽しかったかも。



でも、あいつといて何かあったかと言われれば
抱けない好きな女と二人で寝るっていう苦行と
異常に大倉に詳しくなったって事くらいかも。



はぁ。切な。






「北山さん？」



駅に辿り着いた途端
ふいに後ろから呼び止められて振り向くと
小坂が、ルンルンって立ってる。




「あれ？おまえ、この辺なの？」


「いえ、今お友達のお家に行っててその帰りなんですー。」


「へえ。家どっち？」


「こっちです。」




方向、同じかよ。



仕方なく二人で空いてる電車に乗り込んだ。





「北山さんは、上原さんのお家からの帰りですか？」


「･･･そう。」


「上原さん、北山さんの事どう思ってるんですか？」


「どうも思っちゃねーよ。」


「じゃあ、じゃあ、私、まだ可能性ありますよね？」





真っ直ぐな目。
ふと、沢村を想い続けてたAを見てるようだ、と思った。




「そんなに俺の事好き？」


「好きです。」





はぁ、
なんで想ってる奴は振り向いてくんないのに
何とも思ってない子からこんな風に想われて
恋ってのは上手くいかない事ばっか。





「私、諦めたくないです。」




実はもう断ってる。
それなのにAにどう思う？とか聞いちゃってさ。



そんな女々しい事やってっからいつまで経ってもAは俺に靡かないのか。



潮時。
潮時だろ？





「じゃあ、明日デートでもしてみる？」




俺だって前に進まなきゃダメかも。



横で目をキラキラさせてる小坂だって
充分魅力的じゃねーかってその顔を見つめてた。





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