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９ 北山side←← ページ9

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｢なんかあったんだろ？今日、元気なかったことね？｣



さり気なーく、聞いてみる。



｢･･･いえ、プライベートでちょっとあっただけです。｣



だから、それを聞いてんだけど。



｢失恋、でもした？｣




拉致あかないし、さっさと本題に入る。




そんな俺を静かに見た後、はぁ、とため息を付いた。





｢北山さんにバレてるなんて私、社会人として失格ですね。｣



真面目かっ。って突っ込みたくなったけど
そうだ。成瀬は同期二人にはめちゃくちゃ緩いけど、いざ仕事となると融通の効かない堅苦しい人間だ。



そういう所が仕事やる上でも人間としても信用出来て最初は興味持ったんだよな。



彼氏持ちって聞いた時にはだいぶ惜しいなって思ったのを今でも覚えてる。






｢で、スプモーニ飲んで泣いちゃったわけ？｣



｢･･･このお店、よく彼と来てたんです。｣



｢マジ？｣



｢スプモーニはいつもここで飲んでたから･･･、｣







二軒目も失敗じゃねーか。ツイてない。






｢･･･なんか、悪かったな。思い出させちまったみたいで。｣



｢いえ･･･。｣






｢・・・・・・・・。｣
｢・・・・・・・・。｣








｢あっ、仕事の話しだったんですよね？すみません、こんな話。なんだったんですか？｣




･･･真面目かっ。




｢あー、いや、違う。成瀬が今日元気ないみたいだったからちょっと気になって誘ってみた。｣





ダサすぎて嫌んなるけどここは正直に。
って正直でもなんでもないか。
別れたっていう情報を得て即誘ってんだから。




そんな俺の言葉に驚いたように目を見開いてる。





｢なんだよ？そんな驚くか？｣



｢だって、･･･北山さんてそんな事するキャラでしたっけ？｣






まぁ、な。
部署の中の誰かが仕事に失敗しようと基本見守るってのが俺の姿勢なんだけど。



でも、それは好きな女にはそんな事言ってらんないっしょ。





｢成瀬だから、って言ったら？｣



｢え？｣



｢見てらんないなって思って。美味いもん食って元気になって欲しかったの。｣





これは本音。





そんな本心を簡単に吐露した俺に
キョトンとしてる成瀬はまだ俺の気持ち、気付くはずもねーよな･･･。



ニカ玉もいるし、長期戦で構えてる場合じゃねーんだけどな。






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