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１２ 二階堂side ページ12

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｢とりあえずいつものメニューでいい？｣



行きつけの店でいつも俺達が頼んでるものを注文しようとしたらAが涙をごしっと拭いてちょっと待って？っとメニューを広げた。







｢それに追加で唐揚げとポテトと串カツね！｣




なんだか妙な勢いのAを見て俺と玉で顔を見合わせる。




｢･･･A、揚げ物、解禁したの？｣




玉が不思議そうに聞いてる。




｢昨日久しぶりに唐揚げ食べたら美味しくてさー。もう止まんなくなっちゃった。我慢する必要ないんだもん、だって。｣




嬉しいんだか悲しいんだか、よくわかんない表情でじゃあ、お願いねって注文を頼まれた。




普段から太りやすいって事を気にしてたAは酒を沢山飲む代わりに食べ物はいつもサラダとか煮物、ヘルシーなものを選んで食べてた。



揚げ物なんて以ての外らしく、俺らの前で口にしてるのを見た事がない。





｢･･･彼氏の為に頑張ってたのを、もう、やめたってこと？｣




ついつい聞いてしまう。




｢そう。バカみたいでしょ？｣




バカみたいなんかじゃねーよ。
そうやって頑張ってイケメンの彼氏と並んで恥ずかしくない自分になろって言ってたじゃん。




･･･ほんとに、もう、Aは一人になったんだ。




｢いいじゃん。ほんとは俺唐揚げ食いたかったし！Aにはもっとぽっちゃりして欲しいし。｣




沢山頼んじゃえ！って玉もメニューからいつもは頼まない物を選びだした。




｢うん。もういい。太ったって肌荒れたってなんだっていい！好きな物食べる！！｣




･･･やさぐれ感が気になるけどまだ失恋したてだもんな。





｢Aに付き合ってたら俺らの方がデブるんじゃね？｣



｢あ、玉森はもっと太らなきゃダメだよ。一緒にデブろ？｣



｢･･･やだよ。｣





玉のバカ。
そんな嫌そうな顔して本気で拒否ってんじゃねーよ。





｢じゃあ、俺が一緒に太ってやるっ！｣



Aの勢いに乗っかってやるのはやっぱり俺じゃん？



いつもより高カロリーな物が並ぶテーブル。
よくわからない気合いを入れてもりもりと食べ出してる。





・・・まさに、ヤケ食い。






｢ほらっ、玉森も！！｣





若干引いてる玉の皿にドカ盛の揚げ物を乗せて満足気に不敵な笑みをこぼすAにクスッと笑ってしまう。




｢ほらほら、玉も食えよぉー？｣




見た事のないAの食べっぷり。
だけど食べ方はやっぱり綺麗で思わず見とれてしまう。

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