中紅花の恋ーnakakurenai no koiー

６ 藤ヶ谷side ページ6

｢ちょうど空いてる！！ここ、いいだろ？｣



｢･･･ああ。｣



こいつ。
初対面から超馴れ馴れしくてちょっと引いてるけどまあ、悪い奴ではなさそう。



北山には最初から気を使わずに何でも言いたい事言えたのはこいつに受け止める度量があるからだろな。



いや、つか元々何言っても響いてないって感じもするけど。





｢ここ、もうちょいズレてくれる〜？｣




勝手に三人分の席強引に空けようとしてるし。
でもこの辺り俺が勧誘した子ばっかで視線が痛かったからちょうどいい。




｢誘う奴、男に切り替えて正解だな。サッカー要員が増えたらしいじゃん？｣



｢そーなんだよー。ほんと、適材適所ってあるよな。おまえは女の子、俺は男！うん！完璧にノルマ達成だ！｣



｢･･･とか言いながらちゃっかり女の子二人連れて来てんじゃん。｣




そんな事口では言いながらこいつしっかりモテそうだよな。こういう奴が一番タチ悪い。マリエを近付けないようにしよ。




｢お！そうそう！今回男の勧誘に協力してもらったの。桜子とA！同回だから仲良くしてやって？｣



ほら！って桜子って子の背中グイッて押してる。



｢さっきは、どうも、ミツのナンパから助けて頂いてありがとう。｣



｢ああ！さっきの！結局あんな誘い方したのに来てくれたんだ。｣




ほら。
やっぱり北山はなんだかんだで男女問わず人を惹きつけるんだ。



｢こいつらちょっと可愛いだろ？だから一緒に来てもらって男どもを釣ってきた！｣



｢･･･なるほど。大変だったね？一人で勧誘も出来ないのかよ、おまえは。｣



｢まあまあ、堅いこと言わずにさ？｣





こいつは容量もいい。
確かに女の子二人を眺めると
ちょっと目を引く二人ではある。



桜子って子は活発そうな目の大きい子で
赤系のブラウンのショートカットがよく似合ってる。



Aって子は･･･



なんだろ。



桜子とは対照的な大人しそうな黒髪のロングヘア。



所在なさげに視線のやり場に困ってる自信のなさそうなこの子にこのサークル、合ってんのか？







｢北山に無理やり連れて来られたんじゃない？大丈夫？｣



ついそう声を掛けてしまうほどなんだかほっとけなかった。



｢無理やりじゃねーわ！｣




横で聞こえる北山の声を無視して
今日はこの子を見とかなきゃって変な使命感が生まれてた。

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