中紅花の恋ーnakakurenai no koiー

１３ 北山side ページ13

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｢･･････フェリーで目的地まで二十二時間て気が遠いっすね。｣




飛行機乗りゃ三時間の距離じゃん。
大型のフェリーのはずなのに意外と揺れてるのもちょっと居心地悪い。




｢うちの伝統なの。三時間で着いたら情緒もへったくれもないだろ？鹿児島まで行くんだからその道のりも楽しむんだよっ。｣



｢そもそも沖縄じゃないって、なんか地味っすね。｣



｢ばかやろっ、･･･それは、今回は経費削減だよっ。でも沖縄のすぐ上だし。同じだよっ、同じ！｣






高校の時からの先輩の春馬さんにちょっと小言も言いたくなる･･･くらい、暇だ。




｢そんなダルそーな顔してんじゃねーよっ、いい事教えてやろう。｣



｢･･･なんすか？｣



ちょっと悪い顔して回りにいる奴に聞こえないように耳元に近付いてくる。




｢･･･この旅行終えてから、何組カップル出来るかおまえ知ってるか？｣



｢･･･そんなカップル成立しちゃうような感じなんですか？｣



｢去年は三組だ。｣





･･･地味っ！
この旅行８０人は参加してんだぞ？




春馬さんをジト目で見るとなぜかドヤ顔だし。




｢おまえモテるから間違いなくその、三組クラスに入るよ。気に入った子とかいねーの？｣




俺、モテんの？
聞いた事もねーけど。
とてもその狭き門に入れるとは思えない。




｢気に入った子、･･･うーん。｣



｢今年の新人の女の子は可愛い子多いじゃん？俺も彼女いなけりゃ何人か口説きたいくらい。｣





･･･とか言いながら、春馬さんはバイト先の彼女めちゃくちゃ大事にしてるくせに。







｢由奈は？｣



｢･･････。｣



｢乃々華？｣



｢･･････、｣



｢芽郁か？？｣



｢･･････。｣



｢っつかおまえ、理想たけーよっ、桜子？｣



｢っ、･･･、｣



｢わかりやすく表情変えてんじゃねーっ、このやろっ、｣



動揺を隠しきれない所で春馬さんからエルボ。






｢痛い痛い痛いっ、痛い〜っ、｣



｢諦めろ、桜子は藤ヶ谷しか見てねーじゃん。｣









俺の首から腕を外した春馬さんを睨みながら
んな事わかってるよ、って心で呟いた。






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