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ついにFF全国大会開会式の日を迎え、1つのスタジアムへ全国から大会に出場するチームが集合した。
関東地区で優勝した雷門中学校は勿論の事、特別出場枠によって帝国学園の姿もある。
他の地区チームも次々に入場し、最後のチームが入場を始めたのだが───。
誰もが首を傾げる。
“世宇子”と書かれた文字を掲げながら、プラカード嬢が入場を始めた。通常ならば、その後ろに選手たちが居る筈なのだ。
だが、世宇子中学校の選手は何処へやら。その後ろには誰1人として選手が居ない。
彼女は1人俯きながら歩いていた。
«えー、世宇子中学は本日調整中につき……»
推薦招待校として出場権を得た、世宇子中学校。
つまり、地区予選大会を勝ち上がって来ていない……公式大会に姿を表したことがない、実力が未知数の学校。
そして、その名は───
ギリシア神話の主神、全知全能たる至上の神。
これはただの神話だ、世宇子中学校とはなんの関係もない。名前は偶然の一致に過ぎない。
……だが、何だろうか。背後に張り付くような異様な寒気は。予感にも似たその何かは。
大神は顔を顰め、空を睨んだ。
『……円堂たちと一緒なら、例え本当の神さまだって怖くない。』
なんなら、ギリシアの神に祈りでも捧げよう。
おお、神さまよ……勝利の女神、ニケ神よ。
彼らに栄光あれ、彼らへの祝福を望もう。
───どうか、勝利を僕たちに。
_____
「俺たちの1回戦は明日に決まった。対戦相手は───」
響木は一瞬の間を置いた。雷門イレブンが今か今かと対戦相手の名が上がるのを待つ。
「戦国伊賀島だ。」
世宇子ではなかった事に大神は肩を下ろし、無意識に止めていた息を吐いた。
「皆、今日はゆっくり休め。ベストコンディションで試合に望むんだ。」
「「「はい!!」」」
明日は全国大会初戦。雷門イレブンにとっても、風丸にとっても大事な試合になる。
必ず勝とう。
ぐっと拳を強く握った。
「おう!」
その時、円堂のやたらに大きな声が部室に反響した。大神は驚いて円堂を視界に入れると、当の本人は笑顔でグッドサインを大神に向けている。
「絶対に勝とうな、大神!」
声に出していないにも関わらず返事を返された。その事実に、大神は思わず吹き出す。
暫く笑って、顔を上げて、拳を突き出した。
『僕らは勝つまで絶対に諦めない、そうだよね。』
その拳には円堂だけでなく、雷門イレブンの皆が同意するように手を重ねた。
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鷹羽(プロフ) - コメントありがとうございます~!!!好きと仰っていただけて感激です^^ノロノロペースではありますが、更新させていただきます! (2021年7月15日 18時) (レス) id: 338e0ddf16 (このIDを非表示/違反報告)
名前はまだない - コメント失礼しますm(_ _)m 主人公の設定とかめちゃくちゃ好きです!!鷹羽さんのペースで頑張ってください!更新待ってます! (2021年7月14日 19時) (レス) id: 567784a46c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鷹羽 | 作成日時:2021年3月30日 1時