【イナイレ】おお、神さまは天の上:3

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「このままじゃ……終わらせない！」

「ああ、勝負だ！」

残り時間はあと僅か、霧隠は無我夢中でボールを所持する風丸に突っ込んでいった。併走し、チャージによって何とかボールを奪おうと必死になっている。

「お前の速さじゃ、俺は振り切れない！」

自身とほぼ互角のスピードを持つ霧隠を振り切る力は、確かに今の風丸にはなかった。

では、1体1の単純なスピード勝負ではなかったなら？

「脚が速いだけじゃダメなんだよ、サッカーは！」

「何ィ？！」

霧隠はボールを取ろうと躍起になっている。残り時間が少ない中、同点であり自軍にボールを持ち込まれている事による焦り──それが、霧隠の視野を狭めている。

風丸はボールを持って、霧隠に背を向けた。ボールを追っていた霧隠の目が、途端に揺れる。目標を見失った事で激しく動揺していた。

そのままリフトアップをすることで大きくボールを蹴り上げ、ボールは頭の上を通過する。気づいた頃には既に遅く、風丸は霧隠の横を疾風の如く駆け抜ける。

それを霧隠が追いかけた。

「行かせるか……！」

風丸は必ずボールをペナルティエリアまで持ち込む、きっとそのままシュートを打つのだろう──そうなる前に追いついて、そしてボールを奪う。

その一心で霧隠は走っていた。

「脚が速いだけじゃ……1人で走るだけじゃ駄目なんだ！」

「何が言いたい……！」

「アイツらが感じたものを、俺も感じている……皆の気持ちが、想いが伝わってくる……だから……！」

「なッ……！？」

風丸はペナルティエリアに入り込む手前で、大神へ大きくパス。

空に弧を描いたボールをその場の皆が見上げる中、大神はマークが緩んだ隙に抜け出して飛び上がった。空中で大神の足先にボールに触れた。身体を捻って体制を整える。

しかし、戦国伊賀島の選手は負けじと空中で大神を囲んだ。

『──失礼、僕は囮でね！』

誰もが大神がシュートをすると考えて目を光らせていた矢先、大神はゴール目掛けてではなく、右サイドにボールを蹴った。

『頼むよ、僕らのストライカー！』

注目の的が寸前まで大神であった為、右サイドに上がってきていた染岡と豪炎寺の存在を誰一人として気づいてはいなかった。

染岡と豪炎寺が放ったシュートには龍が纏い、炎が揺れる。

「「“ドラゴントルネード”！」」

2人のストライカーによるシュートはゴールへ、雷門は1点リードする。そこで試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

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